506.偶然の一致 ページ31
15分後。
「これから出るね」の 文字が届く。
泊まってるホテルの場所から うちまで
タクシーだと、たぶん 20分から30分といったところ。
簡単に 身支度を整えて リビングに戻ると
至極 緊張した面持ちの 父と
ちょっとばかしご機嫌な 母の
対比が可笑しい。
『あと2,30分のうちに 来ると思うから』
そう、笑いをこらえながら 告げておく。
1週間分のニュースを伝える
日曜の朝の ワイドショー。
そこに 重なる
父が 新聞をめくる音。
1年ぶりの、だけど
いつも通りの、我が家の 朝の光景に
キュヒョンが 混じるなんて
もっと、もっと
ずっと 先の
来ないかもしれない未来のこと
そう、どこかで 思っていたけれど。
あぁ、そうか。
彼が、来ることを決めたのは
私や、
私の 両親の
目には見えない 不安を
取り除いてくれるためなのかもしれない。
滅多に来られない 日本で暮らす
私の両親を 安心させるため
「離れて暮らすご両親が 何も心配しなくていいように
精一杯 Aさんを 見守っていきます」
母のお見舞いに来てくれた 彼が
母に 宣言してくれた言葉を
じんわりと 思い出した。
『A?手伝って?』
母の声に 我に返る。
お皿に盛られた 私の家の朝食と
私のマグに注がれた、母の淹れるカフェオレ。
うちに泊まってくれたキュヒョンに 出すものと
余り 変わりなければいいな。
母『キュヒョンさんは コーヒー派?
それとも カフェオレにする?』
『カフェオレ。はちみつ、入れてあげて?』
母『はちみつは 喉にいい、って いうもんね〜♪』
お母さんが私に そうしてくれていたものが
そうだったのか、という 偶然の一致に
少し うれしくなって。
知らなかった効能のことを 内緒にする。
母が 戸棚から はちみつの瓶を出した時
携帯が 鳴り響いた。
キュヒョンだ。
「もしもし?」
KH「たぶん 近くまで来てると思う」
「もう タクシー降りたの?」
KH「ううん、バスの通る道で 信号待ち」
「わかった、通りまで 迎えに行く」
母に 声をかけてから
急いで 家を出た。
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past0216(プロフ) - とても今更ですが読みました!こんなにボリューミーで面白い作品は初めてでした!有難うございました! (2020年6月27日 2時) (レス) id: 03f62aec6a (このIDを非表示/違反報告)
miki(プロフ) - yukiさん» お返事遅くなりすみません!思い出して読み返してくださってありがとうございます(^^)もう長いことこちらを開いてもなかったので続編とかまた考えてみますね! (2019年12月10日 15時) (レス) id: 35b302d19e (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - mikiさん、こんばんわ。スパショでキュヒョンに会って、このお話を思い出して、1週間で全話読み直しました。(所々切ないシーンもありますが)全般幸せなお話でした。このお話の続編は予定なしですか??続きも気になります。また機会があれば、続編もお願いします。 (2019年11月9日 23時) (レス) id: f1f7d6a867 (このIDを非表示/違反報告)
miki(プロフ) - yukiさん» お返事遅くなりすみません<(_ _)>最初から読み直してくださったこと、ものすごく嬉しいです!そしてこうしてコメントくださったこともとても嬉しい!ありがとうございます<(_ _)>何か書けたらまたお知らせしますね! (2017年12月24日 23時) (レス) id: 4723f5a3ba (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - mikiさん、こんばんは。思い立って、一番最初から改めて読みかえしてみました。切ないシーンでは切ないし、幸せなシーンはにやけるし、ここ数日はとても楽しかったです。また番外編楽しみにしてますね(^^) (2017年12月5日 23時) (レス) id: f1f7d6a867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miki | 作者ホームページ:https://twitter.com/0203miki0228
作成日時:2016年6月1日 21時