続〜ゲームギュとの恋〜20

478.正しい選択肢 ページ3

空耳、じゃなく。

スタイリスト というだけあって
小柄だけど スタイルのいい
その おしゃれなお姉さんは

私へと しっかり視線を寄越して
聞こえた？なんて、首を傾げてる。

「聞こえ、・・ました」

ビリビリ・・・さっき
キュヒョンに握られていた指先が
火傷したみたいに 熱くて
痛いような 錯覚。



ソンミンに、Aさん連れてきてって 言われてるの



そう、追い打ちをかけるように 彼女が言う。

ざわざわ、まだ 遠くは忙しそうなのに
ここだけ 時間の流れが

ううん、違う

私だけが、動けていなくって。

どのくらい そうしていたのだろう？
でも きっと、私が 感じていたよりも
実際の時間は ずっと、短かったって 思いたい。

目の前の彼女は じっと 留まったまま
急かすこともせずに
私が 答えを出すのを 待っていて。

さっき 出てきたばかりの部屋を
少し 振り返ってみる。

ぎゅっ、と 私の指先を握っていた
彼の体温を
じんわり、思い出してみた。

彼の言葉を
彼の笑顔を
彼のキスを

その 一つ一つを、その体温を 頼りに
胸に 思い返して。



「・・・会いません。このまま帰ります」



言葉にして。
お姉さんに 視線を合わせた。

そう、じゃ、行きましょう

彼女は あっさり それだけ言うと
そのまま 私を、会場の外へと 出してくれ
気を付けてね、と 最後 声をかけてくれた。

お礼を言って、少し 歩いたところで
夜の 外の空気を 吸い込んでみる。

日中は もう 随分と暑い日もあるけれど
サラサラと 流れている夜風が 今夜は涼しい。

まだ ライブの余韻に浸りながら はしゃぐ
若い女の子たちを 横目に 駅へと 向かう。


ね、ヒチョルオッパ？

私、今回は ちゃんと
正しい選択肢を 選べたんだよね？

オッパの 優しい笑顔を思い浮かべたら
少し 苦しかった、胸のつかえが
ずっと 楽になった気がした・・・

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