5.冷たいキス【S.S ページ6
・
ベッドの端っこで丸まって眠っていると、ギシッとスプリングの軋む音がして、少しマットが反対側に傾いた。
あぁ、翔さんだ
もう東の空が白々と明るくなって来ている。
こんな時間まで仕事だなんて…
「んっ…お帰りなさい」
くるりとそちらを向くと、ベッドに腰掛けて緩く口角を上げた翔さんに
「ただいま…起こしちゃったな」
と、優しく髪を撫でられた。
薄明かりの中に、翔さんの綺麗な顔が浮かび上がる。
キュッ
まただ…
付き合って半年近く経つけど、この人に笑いかけられると、いまだに胸の奥が締め付けられる。
「ううん、大丈夫。入る…？」
布団を捲ると、翔さんがゆっくりと首を横に振った。
「スーツだし…自分の部屋でシャワー浴びて寝るわ」
何だ…また帰っちゃうんだ
ここのところ、翔さんは私に触れてくれない。
邪魔が入るからということもあるけど、それだけじゃないような気もしていて…
何だか不安になる。
それに、イケメンハンターたちが迫って来ている現在の状況で、私だっていい加減、どうにかなったっておかしくないんだから…
「ね、翔さん…？」
「ん？」
ちょっとおでこにシワを寄せた、いつもの顔。
「キスして…」
「ん…」
翔さんは、私の顔の脇に肘をつくと、そっと唇を重ねた。
はふっ
幾度か首の角度を変えながら、挟むようなキスをして、上唇をチュッと吸う。
唇が少し開いたところに、柔らかく舌を差し込むと、私の舌と絡ませた。
だんだんと呼吸が荒くなり
「ん…しょ…う」
翔さんの首に腕を回そうとした時、ふっと唇が離れた。
えっ…
「ごめん…シャワー浴びて寝るわ…。きょう、ランチしよう。お昼にオフィス来て」
翔さんはそう言うと、パタンとドアを閉めて、2号室に戻ってしまった。
途端に部屋の空気が冷たくなる。
翔さん…
近くにいるのに
遠くに感じるのはなぜ？
私は悲しくなって、布団を頭まで被って、少しだけ泣いた。
けど、これは、あの嵐のような出来事のほんの序章にしか過ぎなかったんだ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どんぐり - もう最高です！！続きが待ち遠しいです！わくわくしながら待ってます！ (2020年4月7日 0時) (
レス) id: ec7dc569f6 (このIDを非表示/違反報告)
みぃこ(プロフ) - 凄く気になるとこで終わっちゃってるのが気になります(>_<) (2018年2月16日 13時) (レス) id: 22f30ee0ea (このIDを非表示/違反報告)
megu_s(プロフ) - かおりん姉さん(*´･∀･)ﾉおはよーございます！ここまできましたね！どうやって奪還するのか、楽しみにしてます(笑)潤くんのテクを拝見できるかな？ﾝﾌ(//∇//) (2017年4月10日 10時) (レス) id: c659f5c21f (このIDを非表示/違反報告)
ドナルド(プロフ) - かおりんさん。返答ありがとうございます。 (2017年4月9日 16時) (レス) id: 8c04e0d212 (このIDを非表示/違反報告)
marumi - かおりんさん» 智に優しくされるの妄想すると、キュンキュンするわwちょっと落ち着いてきたよ、遊ぼ遊ぼ♪ (2017年4月9日 15時) (レス) id: 0f4c7aebac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かおりん
| 作成日時：2017年2月22日 20時
