立 海 車 椅 子 少 女

カーマインの膝掛け　幸村ＳＩＤＥ ページ18

Aちゃんが泣きやむと、俺は静かに口を開く。


幸「まず、四天宝寺のことだけど。これは絶対に許せない。特に財前くん。今度、時間の空いたときに話をつけてくる。」


「え？でもそれｈ「俺がやりたいだけなんだ。いいだろ？」


そういうと、彼女は躊躇したけど小さく頷いた。


幸「そして・・・ブラジルのことだけど。俺は、Aちゃんが行きたい方に行けばいいと思っている。Aちゃんが歩くことを望むなら、俺は引き止めない。」


「・・・。」


こんなこと言ったけど、本心は行ってほしくない。


でも、病気やケガで不自由な思いをする辛さは、俺が１番よく知っている。


「私、迷ってるんです。足は治したい。でも、日本から・・・立海から離れたくない。」


幸「・・・。」


「少し、考えてみようと思ってます。決まったら、１番に教えますね。」


幸「ありがとう。」


「それとこれ、預かっててもらっていいですか？」


幸「これは？」


差し出してきたのは、Aちゃんが今まで膝にかけていた、カーマインの膝掛け。


「それ、光からもらったんです。まだ事故が起こる前、冷え性だった私に気を遣ってくれて。でももう光は・・・私のこと、好きじゃないみたいだし。」


少しでも望みがありそうだから使ってたんですけど。と、Aちゃんは悲しそうに言った。


幸「わかった。」


そう言って、膝掛けを受け取った。


その膝掛けには、まだ僅かに温もりが残っていた。

翌日→←ブラジル・・・？　幸村ＳＩＤＥ

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