23.バイバイ ページ26
＊
さようなら。
その言葉には、こんな意味が込められている。
“左様ならば、私はここを去りましょう”
もうここには用がなくなった。
だから去る。
別れが辛くて、最後の言葉を言いたくない。
だからさようなら。
夕暮れの教室。夕日がとても眩しかった。
私は今日でこの教室ともお別れ。
この学校とも、友達とも。
彼とも。
『結局、ゾムには言えなかったな…』
さようならを言えなかった。勇気を出して何度も言おうとした。けれど、そんな空気じゃなくて言い出せなかった。
本当に、私は情けない。
『今までありがとう。
私に楽しい思い出を、ありがとう。』
教室に1度お辞儀をする。
ふぅ…と、一息ついて、教室のドアを開けようとしたその時。
ガラッと教室のドアが開いた。
え、自動ドア？←
目の前に鮮やかな緑色のパーカーが見えたから、まさか…と思って上を見ると、そこにはゾムの綺麗な顔が。
けど、顔をしかめていて不機嫌気味だった。
『あ、え、ゾ、ゾム…？』
「A！！！！」
『え、は、はい！！』
お、思わず返事をしてしまった…
「なんで、俺に何も言わずに行っちゃうんや！！」
『…………ふぇ？』
…なんで、ゾムが知ってるの？
私、教えてないはずなのに…
「エーミールから聞いたんや！最近A元気ないし、皆もAの話になると元気なくなるから何やと思て、エーミール脅して聞いたんや！そしたらA転校するって言いおってん！エーミール嘘つかへんし「ゾムさんまさか聞いてないん？」って。他の奴らには言ったのに、なんで俺だけに言わないんや！そんなに俺は頼りないん？！そんなにAは、俺の事が嫌いなんか？！」
はぁはぁ…と息を切らしてゾムがそう言う。
ゾムの瞳は怒っていて、でも何処か悲しげに見えた。
『嫌いじゃない。ゾムとは、“最後まで”楽しい時間を過ごしたかったの。私が転校するって知って、それを知った上で接して欲しくなかった。何度も言おうって思ったんだよ？でも、言える空気じゃなくて…』
「はあ？なんやお前。前も言ったやろ！勝手に自分で決め込むなって！！抱え込むなって！お前は考え過ぎなんや！」
そう言われ、ゾムにデコピンされる。
地味に痛い…
『でも』
「でもやない！！自分でそう思っとらんくても、実際はそうなんや！いい加減自覚せい！！」
『はい、ごめんなさい…』
だんだんと視界が歪んでいく。
ツーと、悲しさなのか嬉しさなのか、涙が私の頬をつたった。
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れんるん - 完結おめでとうございます！めっちゃ良かったです！ (2020年3月31日 14時) (
レス) id: 5708181a46 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - 完結おめでとうございます！ (2019年8月14日 22時) (レス) id: e7f7174040 (このIDを非表示/違反報告)
草餅 - 無事完結しました！！最後までお付き合いありがとうございます！！ (2019年8月14日 14時) (レス) id: 14ae4b0fa4 (このIDを非表示/違反報告)
草餅 - さんさんさん、コメントありがとうございます！！猫がいなくなったのは夜だけなので割と大丈夫(???)なんですよ！！21のやつ誤字ってますね！！すみません！直しておきます！！教えて下り、ありがとうございます！！ (2019年8月13日 14時) (レス) id: 14ae4b0fa4 (このIDを非表示/違反報告)
さんさん - すみません。21.でお母さんのセリフ「ごめんなさい。私だって、貴方達の事を考えて転校なんてしたけないの」ここ「転校なんてしたくないの」では？違ったらすみません。 (2019年8月13日 10時) (レス) id: e7f7174040 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：草餅 | 作成日時：2019年6月30日 19時
