【第5人格】傷物処方箋【夢小説】 (ページ5)

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「驚かせるつもりはなかったんですが…。失礼、キティ？」

「お前……今私をまた斬ろうと…！」

「まさか！可愛らしい仔猫さんへ敬礼を。私、リッパーと申します。」

そう言って、長身の化け物──リッパーはこちらへ刃物の手を差し出した。
その手は器用に赤い薔薇を1本摘んでいる。

透かした態度が実に鼻につく。なんだコイツは。
キティだの仔猫だの薔薇の花だの、私に向かって淑女へ媚を売るような態度なんて。
さっき私を容赦なく切りつけて風船に吊り、ここへ送ったのはどこのどいつだっていうんだ。

「……ふん、私にそんな態度をとっても意味が無いことは教えてやる。」

「そうですか？これでもレディの扱いには長けている方だと思うんですがねぇ」

リッパーの爪からそっと薔薇をつまみ上げ、その凛とした花びら越しに彼を見据える。

「だから無駄だって言うんだ。……A・ジャンク。私は淑女なんかじゃない」

「充分お美しいですよ？貴方は」

透かした態度に水掛け論とは。
なかなかに人を煽り立てる才能を持っているようだ、この怪物め。

ふと隣で静かになったナワーブに目をやる。
すると彼は腕を組んで、悩ましそうに一点を見つめていた。

「淑女ねぇ……」

「言いたいことがあるのは理解するが……とにかく胸に語り掛けるんじゃない」

淑女というには些か足りんのも分かっているし、足りていて欲しいとも思っていない。

全く以て余計なお世話だと言っているんだ！