【第5人格】傷物処方箋【夢小説】 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:906 hit

2 ページ3

「名前は？」

「A。A・ジャンク」

「職業とかあんの？」

「薬師だ」

「えー、じゃあ好きな食べ物」

「……薬かな」

「……お前、変わってるって言われるだろ」

「冗談だよ」

屋敷の中へ招待されて、広間へ通される。
そこには事前に集められていた様子の人々と、何体もの化け物が私を待っていた。
しかし先程の鋭い爪を持った長身の姿は見当たらない。

深く座ってもなお余るほどの、大きなソファの隣に腰掛けた傭兵の青年、ナワーブ・サベダーは、どうやら私に興味があるようで、しつこく質問を繰り返しているところだ。

長身のことがふと頭を過り、顔をずいと近付ける。

「そうだ、今度は私から。いいか？」

「お、おう」

ナワーブは、少し驚いた様子で目を丸くした。

「ここには化け物が山といるようだが、鋭い爪の長身に覚えはないか？」

「……なぁんだ。リッパーのことかよ」

あからさまに残念がるような態度を見せた彼は、後ろを指さす。

「そろそろ帰ってくるんじゃねーの？」

その指に視線をつられて彼の背後を一瞥する。
陽炎のように視界が揺れることに違和感を覚えた、次の瞬間だった。