＊浴衣 〜With Dream〜 ページ27
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「お待たせ、Aちゃん！」
目の前にポータルが現れると同時に、待ちわびた彼が姿を現した。
光の粉をまぶしたような袖を、夜の熱気を払うように凛と翻しながら、彼は石畳に着地して、私に笑顔を向ける。
とても神々しいその姿に、私はくらりとしてしまう。
数日前、地上で行われる夏祭りに行こうと二人で話が盛り上がった時に、私は彼に、浴衣を着てみて欲しいとお願いしたのだ。
想像以上に似合っていて、何と言っていいか分からなくなる。
すると、先に彼が口を開いた。
「Aちゃん……その浴衣、すっごく可愛い！ よく似合ってるよ！」
見れば、彼は頬を淡く染めている。
彼が褒めてくれたことが、その表情が嬉しくて、胸が甘く締め付けられた。
やっとの思いで、貴方もすごく素敵だよと返すと、彼は笑顔を咲かせて、さあ行こうか、と自然に私の手を取ったのだった。
「あれ……このネガティブ、すぐそこだ！」
屋台を見て回っていると、彼は違和感を感じたようで、周囲を見回した。
その正体の元へ、彼は駆け付ける。
「君、大丈夫？」
「ぐすん……痛いよぉっ」
彼が屈んで目線を合わせたのは、道端で転んでしまった少女だった。
私もすぐに駆け寄り、持っていた救急セットで手当てをした。
「よしよし、手当の痛みに耐えて偉かったね！ さあ、お母さんたちのところにお帰り？」
彼が少女の頭に優しく手を乗せると、柔らかな光が少女を包み込んだ。
すると少女は泣き止み、立ち上がる。
ありがとう！と手を振りながら親の元へ帰る少女に、私たちは手を振り続けた。
彼は、人のポジティブを高めることができる。
まさか、と私が尋ねれば、彼はやんわりと首を振る。
「僕はただ、少し背中を押しただけだよ。立ち上がれたのは、あの子が強かったから。でしょ？」
どこまでも優しいその瞳に、私は惚れ直してしまう。
胸が高鳴るまま、心から湧き上がる笑みを向けて、私は頷いた。
すると、彼は私をじっと見つめて……
「ねえ、Aちゃん。……僕、まだまだ君のこと、帰したくないな」
先程よりも熱を持った手で、彼は私の手を握る。
屋台の電飾に照らされ、ところどころ影を帯びた彼の表情は、これまでよりもずっと大人びて
見える。
「今夜は君のこと――僕に、独り占めさせてくれる？」
ぐっと近付いた距離に、これからの彼との夜に胸がさざめくまま、私は熱くなった顔で頷くのだった――
＊浴衣 〜With Fell〜 ※軽度の性的、暴力表現注意→←＊ハグ 〜With Murder〜 ※シリアス注意
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マイ - マーダー！！！！！好き！！ (2023年2月24日 22時) (
レス) id: f9d27c0cdf (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞナイトメアァァァァア好きぃｯ！ (2022年11月27日 13時) (レス) @page34 id: 785e1889ff (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - プリンだべたいさん» プリンだべたい様、かっ、神だなんて……この上ないお褒めの言葉、大変恐縮です……！ ありがとうございます！ (2022年8月28日 20時) (レス) id: c5e96d2eaa (このIDを非表示/違反報告)
プリンだべたい - この作品まじで神すぎる……( ´ཫ` )ｸﾞﾊｧ (2022年8月28日 18時) (レス) @page29 id: 07b9ba0dd4 (このIDを非表示/違反報告)
かしわ(プロフ) - aoさん» 返信ありがとうございます！ そう言って頂けてとても安心しました……！ よかったです！ こちらこそ、素敵なシチュエーションのリクエストをありがとうございました！ (2022年8月25日 12時) (レス) id: 850b2caf1b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かしわ | 作成日時：2022年8月22日 23時
