◎したこと、なかった？ ページ30
.
-Jeno side
｢ジェーノ！｣
JN｢ん？｣
｢ちゅ！｣
ふに、とAの唇が頬に触れた。……嬉しいけど、一体何？
JN｢…なぁに？｣
｢すごい！本当だったんだ！｣
JN｢ん？｣
聞いてみると、メイクヌナから＜落ちないリップ＞を貰ったらしい。それで俺の頬にキスして確かめた、と。…ふぅん。
JN｢本当に落ちないの？｣
｢オンニは落ちないしオススメだからってくれたよ。色も可愛いし、わたしにぴったりって褒めてくれたの｣
色はプラムレッド。Aの白い肌によく似合う。Aは花が咲いたみたいに笑った。
JN｢ちょっと触ってもいい？｣
｢え？｣
落ちないと言われるリップ。
親指をAの下唇に添わせる。びっくりしたのか、肩を揺らすAが可愛くて少し笑ってしまった。
JN｢わ、本当に落ちないね、｣
｢あ、なんだ、｣
JN｢ん？｣
｢……ううん｣
JN｢何もない顔じゃなさそうだけど｣
｢何もない｣
JN｢俺に嘘つけないよ、A｣
｢うっ…、｣
JN｢言って？｣
｢…、……ちゅうするのかと思った｣
JN｢…はは、｣
｢ほら笑った、｣
何だ、それ。
｢……してくれないの？｣
JN｢………やめて、その顔｣
｢だ、だってジェノがそんな目で見るから…｣
JN｢そんな目？｣
｢ずっとくちびる見て…｣
JN｢Aがリップの話してきたんでしょ？｣
｢そうだけど…！ジェノってやっぱりいじわる…。｣
JN｢ごめん、いじわるで｣
｢もうやだっ、恥ずかしい…！｣
…どうやら俺はいじわるをしてしまったみたいだ。無意識に。ぷいっとそっぽ向いてしまったけど、目だけはこちらにやるAを見て、またクスクス笑いがこぼれる。
JN｢こっち向いて、A｣
｢…いじわるしない？｣
JN｢しないよ｣
あ、振り向いた。
ちょっと不貞腐れた顔してる。
JN｢可愛い｣
｢…今バカにし……ん、｣
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作者名：zizi | 作成日時：2021年7月17日 2時
