TVfXQ†ユノ† 記憶の片隅

涙　YHside ページ18

・


｢…今日はお会いするのは
やめておいた方がいいですね｣


YH｢…どうしてですか！？｣


午前中に病院を訪れると
先生からの思いがけない言葉


・


｢朝から頭痛がひどくて
今は起き上がれないほどです
点滴をし、処置していますが…｣


YH｢…どうして…急に…｣


｢奥さまはあなたと毎日接しているうちに
何かを感じ取っているのかもしれません
自分でも気づかぬうちに…
何か…思い出したいのに出来ない…
それが関係しているのかもしれません…｣


・


僕が


娘の…


ユナの話をしたから？


・


いつもAは


‘ユナに出会えて幸せ’


‘私たちの宝物だね’


そう言っていた


他のどの母親もそうであるように
ユナを慈しみ…心から愛した


事故の時だって自分の身を
挺してユナを守った


そんなユナのことが関係あるのか


・


時間もおしていて
一旦 仕事へ向かった


PM 8:00


仕事が終わり、
病院へ向かう


心配で…


会えなくても様子が知りたかった


・


｢今は眠ってらっしゃいますよ？
そっと覗けば寝顔くらいは…ね？｣


年配の看護師さんが教えてくれる


仕事の合間をみては病院を訪れる僕に
ここの看護師さん達がいつも言う


｢こんなに想われてAさんは幸せ｣


って。


・


違う


僕がダメなんだ


Aの顔が見たい


どんなに辛い毎日でも
彼女の顔を見たら頑張れる


・


そっと


そっと…部屋に入る


ほらね？


心が落ち着くのが分かる


しばらく寝顔を見つめ部屋を出た


・


そのまますぐに帰る気にはなれず
真っ暗な病院の外来ロビーの
椅子に腰かける


もし


もしも…Aの記憶が
このまま戻らなかったらどうしよう


僕らのことを忘れて…


・


事情を知っている誰もが
心配してくれた


だけど…


誰にも弱音なんか吐かなかった


自分の両親にさえも


・


‘早く帰ってきてね？’


‘ほら、しっかり？大丈夫だよ？’


‘ユノ？無理しないでね？’


今までの…


君の言葉が


なんてことない日常の言葉が…


何故か耳の奥でリフレインする


ねぇ。…


僕がありのままの自分を見せていたのは
弱い自分も見せていたのは…


Aだけ…


胸が苦しくて…


自分でも無意識に
事故以来…初めて涙を流していた


・

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