１-７ ページ8
そうして辿り着いてみれば、そこはどんよりとした空気になっている。
「ふあぁぁあ……ど、どうしよぉうぅぅ……」
「う、うん……どうしようね……？」
「……ヤバい」
この団の中でも一際年齢の低い少年少女が集まってわたわたとしていたのだ。
三人の真ん中にあるのは、無残に割れた食器類。
先ほど船が揺れた時に落としてしまったのだろう。
下の厨房で料理をしていた年長者たちは揃いも揃って気づいてくれなかったため、まだ幼い三人にはどうすれば良いかの判断が出来ず、混乱するしかなかったようだ。
こういうところはまだまだ子供だな、とこの団の、どうしても精神年齢の向上が推進される環境下で過ごしている故にか、年の割には普段、子供らしくない三人に近づいて行く。
「どうしたんだ？ 沙羅、紗弥、ヴィンテ」
まあ、見た目から予想は出来るが――とレーヴェは尋ねた。
それに怯えてか、びくうっ、と大げさに思えるほど肩を跳ねさせる三人。
そして三人は振り向いた。
白髪に赤い目の、図鑑や絵画でよく見る典型的な『兎』な色合いの少女、
少々込み入った事情のある、姉たちの物だという装飾品を身に着けた少女、
この旅団の中で最年少ながらも運動能力特化隊副隊長という責任ある任務をこなす少年、ヴィンテ・ソリテュードは青い顔をして。
三者三様の表情を見せながら、それぞれレーヴェにひしとしがみつく。
「だ、だんちょぉおさぁああん……ひっく」
「れ、レーヴェだんちょ……その……」
「……」
ぎゅう、とレーヴェのコートを握りしめる三人。
レーヴェはまだ事態に気づいてない振りをして、三人に再び問う。
「ゆっくりでいい。なにがあった？」
ポンポン、と三人の背中を優しく叩くレーヴェ。
三人は、それぞれに話し始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
氷渡ミオ(プロフ) - 烏衣さん» 禁断の扉開けそうな雰囲気ですが隊長に他意はないのです…本当に綺麗だと思ったので言ってみただけなのです…！(なおダメ)庵さんを誉め殺しにしておろおろさせたかったのですﾌﾌﾌ。許可頂きましたー！ありがとうございますー！！ (2017年10月7日 22時) (
レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
烏衣(プロフ) - レーヴェ団長に向かって笑顔を見せるカルト隊長にニヨニヨしていたら、翌朝……まさか隊長から庵に綺麗だなんて……ｳｯ駄目だこの扉は開いちゃ駄目なヤツだっ鍵掛けねば……！ｱｱｱ誉め殺しされてるいいんですよもっと困らせていいんですよ！！！ (2017年10月7日 21時) (レス) id: e4c92fe861 (このIDを非表示/違反報告)
氷渡ミオ(プロフ) - 怜皇さん» 予想外でしたか、驚かせることができたならちょっと嬉しいです！30話にしてやっと話を進めることが出来ました…！単に誉めただけですが確かに反応するのも無理ない回だと思いますwコメントありがとうございました！ (2017年10月7日 6時) (レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
怜皇(プロフ) - 予想外だったレーヴェさんの登場から獣忌の謎の入り口にようやっと触れ…からからの庵さんいじり（？）…隊長が庵さん綺麗と言った当たりでもうひとりの私が反応してしまった回でした……（申し訳ないです！でも最高です！←） (2017年10月7日 1時) (レス) id: 0ed6205140 (このIDを非表示/違反報告)
氷渡ミオ(プロフ) - 烏衣さん» 尊いwありがとうございます！結構シリアス気味になってしまったのですが可愛いシーンが作れてよかったですー！ (2017年9月12日 20時) (レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷渡ミオ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月17日 0時
