３-１４ ページ39
その声と共に、狐の耳と尻尾を生やした青年が部屋に駆け込んでくる。
「はあ……死ぬかと思った……。おっかない顔した殲滅の奴がこっち見るし……」
ぶつぶつと言いながら胸をなでおろしている青年。
「ひい、ここにも殲滅部隊のやつがいるっ」と怯える彼をレーヴェは笑う。
「そんなビビらなくても幻見せてたんだろ？」
「怖いもんは怖いんですよ！ 早く帰りましょ！？」
ぽんぽんと進められていく会話を眺めていると、外から羽音が聞こえた。
鳥の物だろうそれに、野生だとすれば珍しいな、と窓の外へ視線を投げかけて、カルトはぎょっとする。
予想と随分違って、背中に羽を生やした男がこちらを覗き込んでいたからだ。
「団長、探しましたよ。夕飯の時間になっても戻ってこないから、心配してました」
顔立ちの整ったその男はどうやらレーヴェを探していたらしい。
カルトの事をチラッと見ると、驚いた顔をした。
「団長……！？ 見間違いじゃなければそこに、獣忌殲滅部隊がいると思うんですが！？」
「見間違いだな。私は旧友に会いに来ただけだ」
しれっと嘘をつくレーヴェに、カルトはその誤魔化し方は無いだろうと思う。
何しろこちらはまだ隊服のままなのだから。
しかし喋るとレーヴェに睨まれそうなので黙っておいた。
「出迎えご苦労だったな。もう用は済んだし、一緒に帰ろう」
「……はい、わかりました」
どこか威圧感がにじんだレーヴェの言葉に逆らうまいとしたのか、口答えせずに頷く鷹の羽を持つ男。
それが正解だ、と内心賛成するカルトはじろりとレーヴェに睨まれた。
そんなやり取りをよそに狐耳の男はいそいそと窓に近寄って行く。
「じゃあ俺先に降りてます！ 決して殲滅部隊の男が怖いからじゃないですよ！」
誰に向けた物なのか、言い訳をすると彼は「ほら兄貴どいて！」と切羽詰まった様子で先に窓から飛び降りた。
その様子にはあ、と呆れたようにため息をついてつかつかと窓辺に歩み寄ったレーヴェ。
窓枠に足をかけた彼女は最後に振り向いて
「じゃあな」
と一言言った。
「ああ」
レーヴェの挨拶以上に短い返事を返すカルト。
しかし、合槌にはまた会える、そんな思いをにじませていた。
それを受け取ったレーヴェは、ふっと笑いかけるとすぐに窓の外へ消える。
鷹の翼の男もいつの間にか飛び去っていて、一人になった空間でカルトは慌しい一日だった、とため息をついた。
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氷渡ミオ(プロフ) - 烏衣さん» 禁断の扉開けそうな雰囲気ですが隊長に他意はないのです…本当に綺麗だと思ったので言ってみただけなのです…！(なおダメ)庵さんを誉め殺しにしておろおろさせたかったのですﾌﾌﾌ。許可頂きましたー！ありがとうございますー！！ (2017年10月7日 22時) (
レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
烏衣(プロフ) - レーヴェ団長に向かって笑顔を見せるカルト隊長にニヨニヨしていたら、翌朝……まさか隊長から庵に綺麗だなんて……ｳｯ駄目だこの扉は開いちゃ駄目なヤツだっ鍵掛けねば……！ｱｱｱ誉め殺しされてるいいんですよもっと困らせていいんですよ！！！ (2017年10月7日 21時) (レス) id: e4c92fe861 (このIDを非表示/違反報告)
氷渡ミオ(プロフ) - 怜皇さん» 予想外でしたか、驚かせることができたならちょっと嬉しいです！30話にしてやっと話を進めることが出来ました…！単に誉めただけですが確かに反応するのも無理ない回だと思いますwコメントありがとうございました！ (2017年10月7日 6時) (レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
怜皇(プロフ) - 予想外だったレーヴェさんの登場から獣忌の謎の入り口にようやっと触れ…からからの庵さんいじり（？）…隊長が庵さん綺麗と言った当たりでもうひとりの私が反応してしまった回でした……（申し訳ないです！でも最高です！←） (2017年10月7日 1時) (レス) id: 0ed6205140 (このIDを非表示/違反報告)
氷渡ミオ(プロフ) - 烏衣さん» 尊いwありがとうございます！結構シリアス気味になってしまったのですが可愛いシーンが作れてよかったですー！ (2017年9月12日 20時) (レス) id: 5912c8d8da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：氷渡ミオ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年8月17日 0時
