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小さなキャリーケースと遠い分家の人に書いてもらった呪術高専向けの紹介状を握りしめて、私は新幹線に飛び乗った。






スマホには直哉くんから送られてくる(おびただ)しい量の通知音と着信音。







じわりと冷や汗が滲んで、体が勝手に震え始める。







彼に入れさせられた位置情報共有アプリや遠隔操作のアプリを消去したとはいえ、心は恐怖と焦燥で満たされていたのだ。







『無関心になりますように』







そう小さく呟いた言葉と共に電源を切ったスマホをバックに押し込む。







少しだけ心が安まり、視線を景色へ移せば瞳の揺れている自分が映っていた。







昔から日本人離れしていて嫌いだったグレージュ色の目は彼に綺麗だと褒められ、隠すことを許されず、







生まれつき無駄に明るい茶髪も彼が好んでいたから勝手に切ることを禁止された。







そう、私に自分らしさなんて今の今まで一つもない。








東京に着いたらこの長ったらしい髪もいっそのこと切ってしまおうか。








なんて、暖房の効く車内でうつらうつらと考えながら私は久々の穏やかな眠りについた。








「まもなく、終点、東京です」








アナウンスの声とともに重たい瞼を開ける。







気付けば窓の外は高層ビルや建物で溢れていた。







やっと彼から逃げれたのだ。








__そして今。








目の前にいる直哉くんは記憶を失う前、京都で会ったのが最後。







だから彼がこの半年何をしていたのか私は知らない。








ゆっくりその張本人を見上げると、大蛇のように見つめていた。








黒い着物から溢れる威圧感は恐怖そのものである。








生理的な涙と汗が勝手に溢れでた。








震える私に笑みを浮かべて抱き上げる直哉くんは、それこそ気味が悪い。







「Aちゃん_半年ぶりの再会やのになんで泣いてるん?」







私の髪を一筋すくって口付ける彼。







身をよじろうとしても逞しい腕は絡みついて離れない。







「ハハ、まだ逃げようとするんや。ほんまにおつむ緩おして可愛いなぁ」







砂糖菓子に蜂蜜を練り込ませたかのような声が脳に染み込んでいく。








「愛してんで」








「ほんまに可愛い」








そして、彼は愛の囁きと共に猛毒を混ぜて誰にも聞かれぬよう小さく吐いた。










「なぁ、何で俺から逃げたん?」









恐怖を実感するには余りにも十分すぎる一言であった。

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ミルクティー - 直哉くんさいこー (4月6日 11時) (レス) @page19 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 続きが気になりすぎる。。。!夢主ちゃんにはよ幸せになって欲しい!主様、更新まってます(*'▽'*) (2月11日 17時) (レス) @page18 id: dea07b8d55 (このIDを非表示/違反報告)
- うぎゃ!直哉君めっちゃいい!この修羅場好き!ごじょうどうでるか気になって仕方ない! (2月9日 23時) (レス) @page18 id: e366ea730f (このIDを非表示/違反報告)
ゆずな - この作品めっちゃ好きです!続き待ってます( *´꒳`* ) (1月23日 21時) (レス) @page17 id: f39121074c (このIDを非表示/違反報告)
もちゃちゃ(プロフ) - 夏斗さん、夜さんコメント有難うございます‼︎とても励みになります🥹❤️‍🔥 (1月20日 22時) (レス) id: c9a30c4dbc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちゃちゃ | 作成日時:2023年8月31日 9時

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