六輪 ページ6
「僕にはもったいないですよ。でも、……紫さんのような方なら僕も大歓迎ですけどね」
ぎょっとする。まさかここまで女性向けの男になっていたなんて...。
隣でもコナンくんが、げっ……と声を漏らしている。
『ん〜安室さんとはまだ出合ったばかりですし、お友達からでもよろしいですか?』
これは、八雲紫としての自分でいいのか?それとも小説家リーラとしてでいいのか?
まあ、でも表向きは……ということだろう。なんせ、本来の私―岩井Aには彼氏がいる。つまりは付き合えないということは降谷さんも承知のはずだ。
「はい!ぜひ!!」
満面の笑みを浮かべほほ笑む降谷さんに私も微笑み返す。
「あ、ハムサンドと紅茶できましたので、お召し上がりください」
『いただきます』
「いただきまーす!」
「いただきます!」
「いかがですか?」
『……やっぱり美味しいですね』
その後は普通に他愛もない話をした。
学校のこと。次の小説の小話。……本当にたくさんのことを話した。もちろん、八雲 紫として。
『それじゃあ、お先に!蘭ー!またねー!』
「ばいばーい!らーん!」
「じゃーなー」
「皆、また明日―!」
ポアロで蘭とコナンくんとはお別れし、世良ちゃんと園子の三人で帰宅する。
「ね?紫聞いてる??
安室さんとならうまくいくって!!」
『あ、……うん。そうかもね』
「じゃあ、僕はここだから」
世良ちゃんとも別れ、その後園子とも別れ、家に帰る。もちろんこちらも八雲としての家だが。
一度、家に帰り、明日の私服を用意し、必要な教科書等だけをもって、本名名義の家へと帰る。
明日は潜入ではなく、本当の学校に行く日。そのためには、毎朝迎えにくるあの男をどうにかしなきゃいけない。
*
本名名義の家に着くなり、冷蔵庫などを覗き、食材を確認する。この材料だと、カレーかシチューか。うーん、今日はシチューにしようかな?……シチュー系なら、きっとあの男も喜ぶはずだ。
彼氏とはまた別の男を家に上げるのは癪だが、家に無理やり入ってくるので致し方ない。それに、たぶん今日はこの後、もう二人別の男がくるはずだ。だったら、その男どもが喜ぶように手料理でもふるまってやるか!
そうと決まれば、作り始めるのは早い方がいいだろうということで、さっそくメイクを落とす前に料理を作り始めた。
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