メニュー２４ 「菓子パン」 ページ29
塩崎side
私は四時間目の授業が終わったので、廊下を歩いていた。特に用事という用事はないけれど、誰か知り合いに会わないかと思っていた。
「お弁当には何を入れたらいいんだろう…あ、サンドイッチもいいな……でも、自分が食べやすいようにするのも……」
Ａ組から小さな女の子が出てきて、何やらぶつぶつと呟いているようだった。
「どうしましたか…？体調でも悪いのですか！？もしそうだったら一刻も早くリカバリーガールの元へ…！！」
「ふぉ…！？あ、いや、体調は大丈夫なんだよ、マジで。大丈夫すぎて死ぬくらい」
「死ぬ！？それこそ早く…」
「そうだこの子冗談が通じないんだった」
冗談…？
良くないことですが、この状況に関しては安心していいことなのでしょう。とりあえず、体調が悪いだとか、怪我をしているとかじゃなくて本当によかった。
「それなら、何故何かをぶつぶつと呟いていたのですか？」
「ああ、実はね、私前までご飯を食べてなくて。皆が色んなものをくれるから、お弁当を作りたいんだけど、メニューが固まらないんだよね。」
小さな女の子は頭の後ろを申し訳なさそうに掻いた。
そういえば、この子の名前はAさんでしたっけ。体育祭のときの記憶しかないから、間違っているかもしれないけれど。
「そうですね…。でも、いくら悩んでいても仕方がありません。とりあえずご飯を食べてから考えてみてはどうですか、Aさん」
「あれ、私の名前…じゃあ茨ちゃんって呼ぶね」
あ、そういえば、私、今菓子パンを持っていたんだ。たまたま会った友達と食べようと思っていたから。ちょうど二つあるから、Aさんと一緒に食べよう
「Aさん、私と一緒に食べませんか？」
「あ、良いの？私何も持ってないけど…」
「いいんですよ。私、誰かと食べようと思ってパンを二つ持っているんです」
私たちは教室に移動して、椅子に座ってパンの包装を開ける。
「ありがとう…いつか恩は返すよ」
Aさんは一口頬張って「甘い…！」と言った。
彼女は、少しは食べれるようになったが、そこまで食べることは出来ない、と言ったので、両手で包めるくらいの大きさのパンをあげた。
「やはり、誰かと食べるのは楽しいですね」
私の小さな一言は誰にも届くことはないけれど、私の心の中には深く響いた。
メニュー２５ 「水饅頭」 （牙夢さんリク）→←メニュー２３ 「煮干し」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真裏(プロフ) - 納豆さん» さんきゅー！！新作どっちも頑張ります（笑） (2017年10月9日 18時) (
レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
納豆(プロフ) - お疲れ様でした！新作頑張ってね(●´ω｀●) (2017年10月9日 9時) (レス) id: c8bcc7c146 (このIDを非表示/違反報告)
真裏(プロフ) - フユキさん» カッコいいですよね！！私も曲を聞きながら絵を描いていると不思議と雰囲気が重なっていきます（笑） (2017年10月7日 12時) (レス) id: a0b96c91a2 (このIDを非表示/違反報告)
フユキ(プロフ) - フィクサー！！私も好きです！轟くん描きながら聴いてたら轟くんにゴスロリ着せてたっていう不思議体験しました！ (2017年10月7日 3時) (レス) id: 3b75a384a9 (このIDを非表示/違反報告)
牙夢(プロフ) - 真裏さん» おお！楽しみにしています！ (2017年9月22日 21時) (レス) id: 821d451e2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真裏 | 作成日時：2017年8月18日 18時
