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ピアノが置かれた理由3 ページ3

「そういえばなんですが」
普段は無口なピアニストが口を開き、三人の視線がピアニストに注がれる。ピアニストはつい、と目をステージに置かれたグランドピアノに向けた。
「あのピアノって、いつからあるんですか? だいぶ年代物のようですが」
「へえ、やっぱりピアニストだとそんなことがわかるもんかね」
顎髭が感心した風に言うのに、眼鏡はぽつりと返す。
「俺たちが出会ってから何十年経ったと思っている? その前からあそこにあるんだぞ」
「何十年経ったっけ?」
「全くお前は……」
頭を抱えながら、眼鏡は年数を数えた。
「……大体30年だな」
「わお」
「長いお付き合いなんですのね」
歌手の相槌に、確かに長い、と眼鏡は思った。
30年……否、それよりずっと前からあのピアノはここにある。とても大切にされて。
「まあ、腐れ縁というやつだな。ところでどうして急にピアノがいつからあるかなんて気になったんだ?」
眼鏡が水を差し向けると、ピアニストは照れたように俯いた。

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作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年10月25日 13時

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