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夢を語る3 ページ6
ピアノの音が止む。その代わりにあちこちから乾杯の音が聞こえた。派手な音が立たないのはこのバーならではだ。
何人かに足止めされながらも、ピアニストの青年がこちらにやってきた。
「今日も素敵な演奏だったよ」
顎髭が無難な賛辞を述べる。ありがとうございます、と青年は微笑んだ。
「ちょうど夢の話をしていたところなんだ。君にも聞きたいね」
顎髭が振った話題に眼鏡はどきりとする。そのうち回ってくるだろうと思ってはいたが、素晴らしい夢語りを聞いた後だと、夢も何もあったもんじゃない自分の話をするのは憚られる。
動揺を表には出さず、青年を見つめ、ちら、とウイスキーを啜る。
「夢、ですか。まあ、もう叶っているような気がしますが……やはり、ピアノを弾いて、生計を立てることですかね」
ピアニストらしいコメントが出た。
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作者名:九JACK | 作成日時:2019年6月19日 22時