検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:615 hit

歌手の行方5 ページ18

あらら、ととりつく島のない眼鏡の返答に顎髭が苦笑する。まあ、Zionの酒が高いことは顎髭が眼鏡から教わったことだ。承知していて当然だろう。
だが、知っていて尚飲む眼鏡の姿は、一種異様にも映った。明らかに確認するまでもなく、やけ酒だ。いつぞやの自分のやけ酒とはまるで違う険悪な雰囲気に顎髭は肩を竦めるばかりだ。
「ウイスキーをロックで」
などと眼鏡の代わりに頼んでみる。マスターはかしこまりました、と今日は開けていなかったウイスキーの瓶を開け、グラスの氷の上から並々と注いだ。
「今日は気前がいいねぇ」
「ウイスキーを頼む人が他にいないから特別ですよ」
などと言葉を交わしながらアイコンタクトを取る。そっちは頼んだ、頼まれた、という合図だ。
顎髭がおどけた様子で乾杯を誘う。
「乾杯なぞ何にするのか」
「まあまあ」
んー、と軽く考えてから、顎髭が告げる。
「僕の顎髭が立派になった記念に」

歌手の行方6→←歌手の行方4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2人がお気に入り
設定タグ:はなむけ , バー , 大人テイスト   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:九JACK | 作成日時:2019年6月19日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。