まお『何でもやるよ』狂愛 ページ4
「何でもやるよ」
今思えば、告白のときにそんなことを告げたのがマズかったのかもしれない。
言質とった、とでも言うように笑った彼女を見たときには、時すでに遅し、というやつで。
承諾してくれた彼女は、その言葉を盾に、俺を顎で使う。
「ねえ、まお。私ストロベリーシュークリーム食べたい。買って」
「今お金あんま無いんですけど」
「何でもするって言ったじゃない。ほら、早くして」
ハイハイ、と丸っこいパッケージに包まれたシュークリームを持って、レジへ行く。自分用に買おうと思ったコーヒーは、お金が足りなくなるのでキャンセルした。
会計をしてから手渡せば、彼女は嬉しそうに笑った。
「まお、課題のレポート終わんないから手伝って」
「俺も自分ので手一杯だよ」
「何でもするんでしょ？嘘だったらぶっ飛ばすわよ」
どさり、と俺の前に積まれるレポート用紙と、たくさんの史料。
自分の課題もそこそこに、それにペンを走らせれば、史料を開いていた彼女は嬉しそうに微笑んで、ありがとう、と言った。
「……あんな人たち、」
鞄についていた、もふもふのクマのぬいぐるみ。
スマホにぶら下がっていたストラップに、花の飾りがついたイヤホンジャック。
クリスマスにお揃いで買ったペアの腕時計。
ぼろぼろになったそれらを握り締めて、彼女は嗚咽をこぼす。
そんな痛々しい姿なんて見たくなかったから、その人たちを殺したのに。
どうして君は、怯えてるの？
「…まお、これ」
ぱくぱく
酸素欲しさに水面に口を寄せる金魚みたいな、まぬけ面。
あぁ、そんな顔でも、君は本当に可愛いね。
「へ？何？わし、何でもやるよ」
いつもみたいに戯けて、手に持っていたものを放り投げる。べしゃり。他のものにぶつかってしまい、泥と一緒に血が跳ねて、スニーカーにくっついた。
「…俺、何でもやるよ」
欲しいものは何でも買ってあげるし、面倒臭い課題も何でもやってあげる。
気に入らない奴がいるのなら、そいつがずっと君に近づかないようにしてあげる。
だから、ねぇ、
「笑ってよ、A」
君が笑ってくれるなら、俺は何でもやるよ。
そう、なんでも。
何でもやるよ
(軽率にその言葉を吐くものじゃない)
湯毛『いっぱい食べる君が好き』狂愛→←つわはす『羊水の底』 パロディ作品
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やつがれ先輩(プロフ) - �擦気�» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！もっと楽しめる作品になるように精進します…。 (2017年8月25日 0時) (
レス) id: f68a99e668 (このIDを非表示/違反報告)
��(プロフ) - 貴方の文章から滲み出る雰囲気とか、独特の世界と言いますか、なんと言いますかすごい好きです。ひっそりと見てます……！ (2017年8月15日 0時) (レス) id: 97e51543ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やつがれ先輩 | 作成日時：2015年12月20日 1時
