コジマ『もう一杯！』胸糞？ ページ26
俺の仕事場があるオフィス街から一つ二つ路地に入るだけで、その先の風景はガラリと変わる。酒気と酸化した油の臭いが強く吹く、煌びやかな歓楽街。あまり来たいところではないのだけれど、同期のAから救援要請が入ってきたので、仕方なくイルミネーションの中に足を踏み入れた。
｢ただいま2時間飲み放題で1000円サービスやってまーす！！｣
｢お兄さん、居酒屋決まってますか？｣
盛り場らしい騒音とキャッチの声をスルーして、さらに奥へ、奥へ。酔狂なネオンすら届かないような、場末の地下にひっそり佇むバーへ入る。彼女はいつもここにいるのだ。
バーはいつものごとく大盛況のようだった。ただ、てらてらする唇に酒を流し込む、短いタイトスカートを着た女たちや、そんな彼女らをぎらついた目で見つめる男たち。ここにはそんな客しかいない。
好奇の目を避け、カウンターの端に腰掛けた。その隣には、酔い潰れてテーブルに突っ伏しているAがいる。
｢彼女と同じものを。｣
バーテンダーにそう頼むと、彼はこちらを一瞥した。程なくして、シンプルなロックグラスに注がれたバーボンが出てきた。薄めた烏龍茶みたいな色をしている。一口飲んでみるけど、あまり美味しくない。混ぜものの入った安いやつだろう。ため息だけついて、隣に向き直る。
｢…A、帰るよ。｣
｢……もうさぁ…仕事行きたくなぁい〜……｣
Aは今日、仕事でミスをした。大事な商談に遅刻して、先方を怒らせてしまったのだ。
｢だってさぁ……ミスしたもんはしょうがなくなぁい〜？その後でもグチグチ言って八つ当たりまでしてきてさぁ！！ほんとうざい。むかつく。｣
彼女はぐっと安いバーボンを煽り、おかわりを頼む。
その怒らせた会社というのが、うちの会社が長年お世話になっている取引相手なだけに、彼女は上司と共に会社の役員たちからめちゃくちゃに怒られ、散々な一日を過ごしていた。そのせいで今日の社内はずっとピリピリしていて、俺もかなり緊張しながら仕事をしたものだ。
｢ねぇ〜〜、慰めてよぅ、コジマ｣
そう言ってAは俺にしなだれかかる。
気持ちはわかるし、なるべく同情はしてやりたい。
でも、だ。
その遅刻の原因が、この連日の深酒のせいともなると、そうもいかない。
｢……でもさ、それ、Aの自業自得じゃないの｣
てっきり、いつもみたいに優しく慰めてくれると思ったのだろう。伸ばした手を払いのけられたことで、彼女が緩慢な動きでこちらを見た。
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やつがれ先輩(プロフ) - �擦気�» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！もっと楽しめる作品になるように精進します…。 (2017年8月25日 0時) (
レス) id: f68a99e668 (このIDを非表示/違反報告)
��(プロフ) - 貴方の文章から滲み出る雰囲気とか、独特の世界と言いますか、なんと言いますかすごい好きです。ひっそりと見てます……！ (2017年8月15日 0時) (レス) id: 97e51543ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やつがれ先輩 | 作成日時：2015年12月20日 1時
