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彼女に目をやる。
Aの目はギターのフレットだけに固定されていて、俺の方なんて見ちゃいない。
真の天才とは、音楽と数学の分野にしかいないらしい。きっとそれは大正解だ。
Aには、音楽に関する天与の質があった。
Aは、音楽を愛し、音楽に愛される才能を持っていた。
でも、それを神から与えられたのは彼女にだけ。
絶対音感に、抜群のセンス、才能。
それは、作曲だろうが作詞だろうが、ただ楽器を弾くだけ、歌うだけといったことに対しても、彼女の場合は遺憾なく発揮されてきた。
『音楽』にステータスを全振りした幼馴染。
「…」
あぁ、彼女の全てが羨ましい。
俺だって、コイツに負けないくらい、音楽を愛していたのに。
駆け抜けるようなラスト三小節を待たずして、俺はAに言った。
「…ねえ、何か弾いてよ」
「何かって？」
「何でも。…久々に、即興やって」
微かな鬱憤ばらしのつもりだったのに、彼女の顔は軽やかに華やぐ。
「いいよ」
そう言って、準備。それは、たった三拍の静寂だった。
いきなりの、力強く叫ぶようなイントロが、狭いワンルームに響いた。そのまま、勢いを落とさず掻き鳴らされるAメロに、無理矢理に意識を引きずり込まれる。
しばらく音に呑まれていた。すると、そこでテンポが少しずつ変わる。荒波から、ゆったりとしたさざ波のような、優しく穏やかなBメロへと。
彼女はこんな曲調も弾けるのか。
そう思った時に訪れた、一瞬の暗転。
そして、変調。
弦が焼き切れそうなほどの勢いで、華奢な指がコードを辿る。聴くもの全てを圧倒する、怒涛のようなロックンロールだ。
魂が震えた。歪み、震え、恐ろしい勢いで膨らみ、思いつきで次々につけ足されているはずの旋律が、複雑に絡み合い、絶妙なバランスを生んでいた。ロックならではの気性の荒さも、音の尖りも、所詮彼女の才には抗えないのだ。
そして、そのきらきらした横顔を見たとき、俺は絶望した。
誰より大好きだったAは俺を置いて、酷く鮮烈なロックミュージックに恋をしてしまっていたのだ。
オーバードーズ・ロックスター
(過剰摂取と、摂取不足)
(死ぬんじゃねえぞ、お互いにな！！)
コジマ『もう一杯！』胸糞？→←フジ『オーバードーズ・ロックスター』悲恋(?)
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やつがれ先輩(プロフ) - �擦気�» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！もっと楽しめる作品になるように精進します…。 (2017年8月25日 0時) (
レス) id: f68a99e668 (このIDを非表示/違反報告)
��(プロフ) - 貴方の文章から滲み出る雰囲気とか、独特の世界と言いますか、なんと言いますかすごい好きです。ひっそりと見てます……！ (2017年8月15日 0時) (レス) id: 97e51543ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やつがれ先輩 | 作成日時：2015年12月20日 1時
