蘭たん『惑えやエイリアン』ほのぼの？ 1 ページ21
鈍く光る街灯が振れていた。篠突くような大雨が、通りに突き出した簡素な屋根を叩いている。足元のボロい側溝は既に決壊しかけていて、ちょっと可哀想だった。
そっと空を見上げる。透明な雨粒は、高級な水飴みたいに濃厚な空気に溶けて、よく見えない。ただ、曇天の暗さで、音で、その威勢の良さは見て取れた。そりゃもう、十分すぎるほどには。
朝のことを思い出した。俺の弁当を準備しながら「今日は仕事で遅くなる」と言った母親の言葉を、もう少しだけ注意して聞いておけばよかった。そうすれば、下駄箱の上に折り畳み傘を置き忘れるなんていう間抜けな真似はしないで済んだろうに。
溜息を吐いた。この雨では、無事に帰れないだろう。迎えは呼べないし、例え駅まで走って行ったとしても、傘無しではどんな無様を晒すことになるかなんて、想像するまでもない。
それなのに、だ。
「ふたりっきりだねえ」
俺の隣で、Aはそう言ってヘラリと笑っている。いつ止むかも分からない雨に閉じ込められているのに、その顔は酷く能天気な笑みを浮かべている。しかも、どこの漫画のヒロインなんだと見紛うような、しょうもないことを言ってのけている。
相変わらず、どういう神経してるんだか。
「そういうのでときめくのは、三流少女漫画のヤンキー被れ野郎だけだよ」
「おー蘭たんさん、自己紹介どーもありがとーございまーす」
「…俺別にヤンキーとかじゃないし。とりあえずセリフは古いからやり直し」
「えー、ベタこそ王道じゃん。知らないの？」
「……お前さぁ…」
頭を抱えたくなった。いつものことながら、全然日本語が通じない。
Aはやばい奴だ、とは、彼女と初めて出会った幼稚園児のころからずっと思っていたけれど。
宇宙の果て、銀河一つ飛び越えた次元から電波を受信している奴だから仕方ない、と無理やり自分を納得させて十余年。そんなのにすら結ばれてしまう、『腐れ縁』の五文字が惜しいったらなかった。
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やつがれ先輩(プロフ) - �擦気�» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！もっと楽しめる作品になるように精進します…。 (2017年8月25日 0時) (
レス) id: f68a99e668 (このIDを非表示/違反報告)
��(プロフ) - 貴方の文章から滲み出る雰囲気とか、独特の世界と言いますか、なんと言いますかすごい好きです。ひっそりと見てます……！ (2017年8月15日 0時) (レス) id: 97e51543ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やつがれ先輩 | 作成日時：2015年12月20日 1時
