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「そもそもさ、そういうことって、なに？
誤解だってこと？
あくまで冗談のつもりで、Aを傷つけて、泣かせるつもりなんてさらさらなかったってこと？」
ワックスの禿げた床板を、きっくんの上履きが軽快に踏みつける。
「俺を怒らせるつもりじゃ、なかったってこと？」
彼らが少しずつあとずさる。その背後にある開け放たれた窓から、冷たい風が吹いていた。
「馬鹿だねぇ、お前ら」
楽しそうな声から、色が失せる。
「笑えない冗談はさ、『冗談』とは言わねーって、知らねえの？」
そう言い放つと、きっくんは一人の女の子の喉を掴み上げた。止めようとする周りの人たちを一捻りして、もう片手を使って彼女の肩辺りを窓枠に押し付ける。放たれようとした断末魔は、気道を締め上げることで容易に防がれる。あまりにも手際よく素早い拘束だった。
彼が、その両手にもう少し力を入れたのなら、どうなるかなんて。最早言うまでもない。
「ははは！きったねえ顔！つっこ？だっけ。誰が誰より可愛いって？いっぺん鏡見てこいよ。Aの方が何億倍もかわいーし、綺麗だよ。お前みたいな、他人の幼馴染のこと嗤ってるクソ女よりも、ずっとさ」
ぎりぎりと、その骨張った手に力が入る。そこには、怒り以外の何かがあった。例えば、そうだ。憎しみだとか、嫌悪だとか、――殺意だとか呼ばれるものが、どろどろのぐちゃぐちゃに混ざり合って、手の甲の血管を浮かせているような、そう思わせるほどに偏執的な手つきだった。
「おま、ッ、やりすぎだって！」
かけられた制止の声に、きっくんの金髪が揺れる。
「はぁ？何言ってんの。
冗談なら、なんでも許されるんだろ？」
冷たく吐き捨てたその口元は、わらっていた。
「お前らがAのこと泣かせて傷つけたのだって冗談なら、俺がこいつのことを突き落とすのだって、冗談だよな？お前らがAに詫びて土下座してから、立てなくなるくらいまで俺がぶん殴って、その後でぶっ殺すのだって、冗談だよな？そんな軽い一言で、終わらせてくれるんだよな？」
お前らも、同じことをしたんだからさ。
窓ガラス越しに、きっくんがわらっている。口角だけを引っ張り上げた、いびつな表情をしている。女の子は泣いていた。男の子たちだって、目に涙を浮かべて震えている。彼が手に力を込める。女の子の身体が、ゆっくりと弓なりに反っていく。抗おうにも、男の子の力には敵わないのだ。
このままじゃいけない。本能的に思った。
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やつがれ先輩(プロフ) - �擦気�» 初めまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです！もっと楽しめる作品になるように精進します…。 (2017年8月25日 0時) (
レス) id: f68a99e668 (このIDを非表示/違反報告)
��(プロフ) - 貴方の文章から滲み出る雰囲気とか、独特の世界と言いますか、なんと言いますかすごい好きです。ひっそりと見てます……！ (2017年8月15日 0時) (レス) id: 97e51543ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やつがれ先輩 | 作成日時：2015年12月20日 1時
