神狼ノ森

５ｰ妖(ｱﾔｶｼ)ｰ ページ8

｢おはよーございまーす…｣

濃い隈を目の下に張り付け、教室に入って覇気の無い挨拶を零した。
昨日の森での件の後、中々眠れなかった僕は、鞄に付けておいたキーホルダーが無くなっている事に気が付いた。それから、部屋中家中を朝まで探したものの、キーホルダーは見つからなかった。
僕が初めて両親から貰った、大切な物なのに。

｢うぅぐぅ…｣
｢何泣いてんだよ陸…つか隈すげーな。｣

べそをかいている所に、友人が声をかける。
いつも僕を気にかけてくれる良い奴。

｢…昨日さ、帰ってから鞄見たらさ、僕のキーホルダー無くなっててさ…｣
｢あー、あの犬みたいな奴か｣
｢狼だよ！！…家中探したんだけど、見つからなくて…どこ行ったんだろ｣

また目元を抑えていると、友人は思い出した様にこちらを向いた。

｢あれじゃね？ほら、お前清掃の時どっか行ったじゃん。｣
｢へ？｣
｢ボロボロで戻って来たじゃん？どっかに引っ掛けて来たんじゃねぇの？｣

呆れ気味に零された友人の言葉に、僕は妙に納得がいった。きっとあの時だ。森を出なければ、と全力疾走した時。

｢う〜…でもなぁ…｣
｢なんだよ探しに行きゃいいじゃん｣
｢そんな簡単じゃないのー…｣

(二度とこの森に入るな)

印象的な蒼い人影が脳内を掠める。
…入るなって、言われちゃったんだよな。
然しあのキーホルダーも大事だ。あれは過去、親がくれたものではあるが、どうやら今日聞いた所、神主から清めを受けたちゃんとした御守りだったらしい。

｢…どうしよう。｣

幼少期から大切にした、ほぼ命と同価値の御守り。入ったら、怒られるだろうか。もっと悪い事が起きるだろうか。
…あの刀で殺されてしまったら？
想像もしたくない。あぁ、どうしよう。


・


入り口なら大丈夫だと思った。
奥まで入らなければ良いのだと。
それでも見つからず、足はどんどん奥へ、奥へ。
導かれるかの如く、奥へ。
奥へ、
奥へ、
奥へ、
そして
僕は突然、前方に突き転ばされた。

｢っ！たた…何…！？｣

服に顔に、沢山ついた乾いた木の葉を払い、痛みに顔を顰めながら起き上がり振り返った。

そこには、僕の知らないモノが居た。

黒いボロボロの僧侶装束。人の頭がある筈の場所には、黒く毛深い獣の頭。腕は異形に伸び曲がり、爪のようなものが鋭い刃物となっている。刺すような殺意。揺れるボロ布。ちらりと見える赤い舌。
全身の血の気が引いた。体に力が入らない。迫る刃を、待ち受けることしか−


｢危ない！｣

６ｰ羅衣ｰ→←４ｰ療の神託者ｰ

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す