2ーシルシー ページ5
彼の手の上の栗鼠は、一度こちらをチラリと見てから彼を伝って地面に降りた。進行方向へと進み、立ち止まって僕を待つ。
「
分かったら行け、と
木々が身体を打つ。
栗鼠は小さ過ぎて、度々見失ってしまう。
本当に視界から消えてしまった時だけ、名を叫ぶ。
また走る、走る。
走って、服が少しだけ破けて。
顔や腕の切り傷が血を滲ませてきた辺りで、
やっと視界が開けた。
「はぁっ!!はぁ、は…」
「うぉっ!?…陸!お前どこ行ってたんだよ探したんだぞ?」
「へ?…あ…」
もう無理、と膝を折った場所は、集合予定地だった。友人が慌てた様子で駆け寄ってくる。
ざわつく人の海が、なんだかやけに煩わしく感じた。
「お前急に居なくなっちまってさぁ…ここ割に入り組んでっから、先生達も探したんだぞ?」
「ご、めん…はぁ…なんか、変な所入っちゃって…」
「どこまで行ったんだよお前…ボロボロじゃんか」
「うーん…分からない、んだよね」
息を整え、背後を振り向く。
何処を見ても栗鼠は居ない。
…あの人の元へ、戻ったのだろうか。
「おい陸、行こうぜ」
「あ、うん」
ちりちりと痛む掠り傷に表情を歪めながら、引き返す人並みに混ざって歩く。
二度とこの森に入るな、人間。
あの言葉がやけに耳に残る。
彼は、人間では無かったのだろうか。
チラつく彼の、別れ際の悲しそうな表情が記憶に焼き付いたまま、学校へと戻った。
・
「ヴヴ……ヒト……ヒト のニオ い する…クウ シルシは トっタ…」
ぷちん
・
歩いて戻っていると、背後で風が舞った。
続けて若い女の声がする。
「陣、戻りました」
「羅衣か、ご苦労。抜かり無いか」
「はい。少々走らせた為多少木々が攻撃しましたが、掠り傷程度で済みました。」
「…その割には森が煩いな」
風が強い。小妖怪達の噂話が活発だ。
「大方今年の木々は実りが悪い、だの話しているのでしょう」
「それならば良いのだが…人の侵入は異例だ。代々遣えてくれていた神主の家系が、惨殺され途絶えてから初の事だろう。既に木々が人の侵入を伝えている。
議を行うぞ、長を集める様伝令に伝えろ」
「承知」
風が舞い、羅衣の気配が消えた。
「…杞憂なら、いいんだがな。」
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蒼伊 語(プロフ) - 蛍さん» ありがとうございます!諸事情で遅れてはいますがコツコツと進めていきたいです(´∀`) (2018年6月24日 9時) (レス) id: da2bc95f22 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(プロフ) - とっても面白いです!これからも更新楽しみにしてます!! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 82f123b2bb (このIDを非表示/違反報告)
蒼伊 語(プロフ) - コメントありがとうございます(´∀`)テスト期間だった為遅れていましたが更新再開致します (2018年6月10日 23時) (レス) id: da2bc95f22 (このIDを非表示/違反報告)
威神奈 望日 - おー!おもしろい!続きまだかな…?(キョロキョロ) (2018年6月10日 8時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
ive kanoda - 続きが気になります!頑張ってください!(^p^)/ (2018年5月28日 19時) (レス) id: 6445a912e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼伊 語 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/oukoukabaka/
作成日時:2013年2月23日 16時