神狼ノ森

９ｰ状況整理ｰ ページ12

｢羅衣、座らせてやれ｣

深い紫の瞳に見据えられ、緊張と恐怖で動けなくなっていた所、雪と言う名の神は座るように促した。えっ、と言う小さな声の後、羅衣さんは僕を傍の切株の椅子に座らせた。
緊張のせいか恐怖のせいか、喉が締め付けられて声が出ない。

｢さて、本日の長議を行おう。｣

厳かな低音の声。一気に空気が変わった。

｢本日の議題はこの人の子について。まずは現在の状況を整理しよう。……その方が人の子も分かりやすいだろう。輪廻、頼む。｣

声をかけられたショートカットの女性が立ち上がる。幼げな顔立ちと打って変わった黒い眼帯に違和感を感じる。彼女は呼吸を整え、ハッキリとした調子で話始めた。

｢時系列順に申し上げます。
昨日未の刻、東の端、青龍門より人の子が侵入。清掃活動中迷い込んだものと推測。人の子自身の気も関係すると思われますが、不明です。その後陣に遭遇。陣の指示で陽、羅衣が門の外へと送り返しました。之に寄る森の影響としては、人の匂いを嗅ぎ付けた白が少々興奮した程度で落ち着きました。青龍門は数人の陽に寄って結界の調査を行い、異常無しと結論付けられました。
本日亥の刻、同じく青龍門より再度人の子が侵入。報告に寄れば、昨日森に侵入した際に落し物をした、との事。その際人の匂いを嗅ぎ付けた鎌鼬が一匹、攻撃をしたと報告を受けました。羅衣、相違ありませんか？｣
｢ありません｣

淡々と話す少女に面食らう。話していない事も筒抜けだ。見られて居たのだろうか。というか、僕大分悪い奴な気がする。

｢宜しい。鎌鼬は羅衣の対処により退散。羅衣が長議会場へと案内している間、青龍門の再調査と落し物らしき物の捜索を行いましたが、依然発見出来ません。
以上です｣
｢御苦労。さて、状況はどのぐらい飲み込めた？｣

眼帯の少女は元通りに座り、伏せられた紫の瞳が再度此方にきょろりと向き直った。惚けて居たのを見られ、肩を強ばらせる。慌てて頭の中で反芻した。

｢…途中途中良く分からない言葉でしたが、取り敢えず僕がここに座っている事がどれだけ異常で影響を与えるのかは分かりました｣

そう答えると、紫の瞳は小さく細められた。

｢そうだな。間違ってはいない。
今回の長議は異例ながら二夜連続となった。言わずもがな、人の子に関することだが…昨日俺は来るなと言い聞かせ、彼は了承して帰った。脅し紛いの事をしたのだ、軽い気持ちでまた侵入したとは考えにくい。それほど大切な物を無くしたのだろう｣

10ｰ状況整理.2ｰ→←８ｰ雪ｰ

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキー方角

西 - この方角に福があるはずです

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す