Chapter1 ページ2
深い微睡の中、段々と意識が浮上してくる
昔からそうだ、毎回あるこの感覚だけは苦手だった
もっと寝ていたい、もっとゆっくりしていたいのに自然と目が冴えてくる、この瞬間だけは幼い頃からずっと―
そこまで考えて、自分は再び閉じかけていた瞼をこじ開ける
―幼い頃から?そう考えた瞬間頭がズキズキと痛みだす
それに、なんだこの固さは
布団などの柔らかさではない、もっと―そう、机みたいな
不自然な感触に違和感を覚え、上体をおこして周りを見渡せば、そこには見覚えのない教室が広がっていた
そして少し離れた席に自分以外にもう一人いるのが見受けられた
「あ、あれ...?ここは...」
どうやら相手も今しがた目が覚めたらしい、状況を掴めてない様子で彼は辺りを見渡していた
「どうして俺はこんな場所に...」
「キミは...」
「うわ!だ、誰...?!まさかキミが俺をここに...?」
彼に声をかければ、驚かせてしまったか、怯えた様子で悲鳴をあげられてしまう
「た、助けて!俺の家はそんな金持ちじゃ...」
「お、落ち着いて...多分自分もキミと同じ状況なんだよ」
子を宥めるように、なるべく優しく声をかければ彼は一瞬ハッとし、深呼吸をし初めた
...誰だってこんな状況理解不能だろう、戸惑うのも当然だ
そう、悲鳴に少し傷付いた心を彼が深呼吸してる間に宥めておく
「お、同じ...?そう、か...ごめんね、誤解しちゃって...」
...素直に謝ってくる辺り、彼は少なくとも悪い人ではないのだろう
...寧ろ少し罪悪感を覚えてしまう
そんな会話をしていると、突然教室の後ろの扉が勢いよく音を出して開いた
「ユキナリくん!!ここにいるの!?」
「え!?と、トモヤくん!?どうしてキミがここに...」
...様子からして、彼らは少なくとも知り合いなのだろう、少し驚きながらも目の前の彼は少し安堵の表情を浮かべていた
「そ、それは僕にも分からないけど...さっき隣の教室で目が覚めて、そしたらユキナリくんの声が聞こえたから...」
「...知り合い?」
「あ、うん...彼は藍沢トモヤくんっていうんだ」
そう尋ねれば、そういえば自己紹介がまだだったね、と軽く自己紹介してくれる
「俺は霜月ユキナリ、これでも一応大学生だよ...それで、キミは?」
そう聞かれ、また思い出そうとした時だった
頭が鋭利な物で貫かれるかのように、ズキリと痛む
痛い、まるで過去を思い出すのを拒まれてるようだ
「...なん、だっけ...」
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作者名:Snow | 作成日時:2021年7月5日 22時