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28話 ページ29



私の返事なんて最初から聞く気などなかったのか私の手首を強く掴んで男はずんずんと歩き出した。手首が痛い。無駄に怪力なのだから手加減くらいして欲しい。彼に握られた時は凄く優しくて何より嬉しかったことを思い出す。痛みを感じさせないようそっと握られて、彼の手は大きく関節部分が骨ばって出っ張っている、男性にしては細くて長い指が魅力的だった。

着きましたよ。そんな声で前を見たら既に私は店内にいてカウンター席に座る主人公が口をあんぐりと開けてこちらを見ていた。結局私はこの男と一言も言葉を交わすことなく連れてこられてしまった。なんという災難なことだろう。折角学校が休みだったというのに。これならまだある方がマシだ。

目の前で主人公とトリプルフェイスがコソコソと耳打ちを始めたからそっと抜け出そうとするとまたあの気味の悪い笑顔で腕を掴まれた。お前、仮にも組織の幹部なのだからこんな行動とってたらすぐに潜入捜査官だってバレると思うんだけど。はぁ、今年に入って最大のため息が出た。

「キャロルお姉さん久しぶりだね。そういえばこの間凄い爆発事故があったんだけど知ってる?僕怖くてさ〜」

額に汗を滲ませながら必死に子供のふりをして聞かれる。内容は十中八九ポアロで彼が私に近づくなと言った次の日爆発事故が起きた博物館についての話だ。

私は答えるつもりなんて毛頭ない。私は今主人公達に少し苦手意識を持っている。もともと熱狂的なファンではなかったがそれなりに人気があることも理解していた。けれどこの世界に来てみたらありえない馬鹿力で腕は掴まれるし、なんでも見透かしてしまいそうな瞳が向けられることに耐えられない。私の話など何一つ聞いてはくれないその独断性が嫌だった。

だから私はお詫びですからと出されたコーヒーとハムサンドにも手をつけない。この世界では睡眠薬等の類も珍しくない。危機感を持っておいて損は無いはずだ。

「お姉さん?聞いてる?」

『用事があるので帰ります。手首掴んで来るなら警察呼びますよ』

それだけ言って立ち上がる。トレンチコートの裾を翻した。

「待ってっ!!お姉さん、銀髪の男の人と知り合いだったりする?」

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夢子(プロフ) - 続き待ってます!更新頑張ってください (5月11日 8時) (レス) @page32 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (5月5日 14時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
honoka - 続きが楽しみです❤応援しています! (2023年4月2日 10時) (レス) @page32 id: 31959a78cc (このIDを非表示/違反報告)
わかちゃ(プロフ) - 初めまして✨初コメ失礼します!!すごく大好きな作品です!これからも更新頑張ってください! (2023年3月4日 22時) (レス) id: b355fc481c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが待ち遠しい...。更新頑張ってください!応援してます。 (2023年2月19日 21時) (レス) id: dd9d21c513 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2023年1月29日 12時

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