いつか私のところに戻ってくれば良いだなんて

27話 ページ28

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突然のことで理解が遅れる。私達の関係に名前はまだ、ない。強いて言うならばメール友達？だけどキスをされた。これはもう確定だ。彼は私のことが好きなんだ。そう気づいても嫌な気持ちなんて少しも感じないし寧ろ嬉しいとさえ思った。胸の高鳴りがこの感情の名前を教えようとしてくる。だけどまだ私はそれに耳を貸さない。近々きっと彼の口から聞けることになるだろうから、私はそれを待つ。あぁ今度彼に会えるのが楽しみだ。

あれからはや10日ほどが経った。これまた最近気づいたことだが遂に時が止まったらしい。それはつまり1ヶ月経とうが何ヶ月経とうが、私が大学生になるということはなくなったということだ。原作漫画の方ではコナンは何年経っても小学生のままだ。それと一緒。この世界がより漫画の中らしくなっただけ。特別驚かなくなった自分に嫌気がさす。だからもう深く考えないことにした。

今日は学校が県立記念日だか何だかで休みだ。嬉しくって1人で笑いながら買い物に出かけた。傍から見ればとてつもなくキモかったに違いない。

まぁそんなことを鬱々と気にするような性格はしていないので前を向いて笑顔で前進中だ。

久しぶりですねえ。語尾が若干伸びているような声が耳のすぐ側から聞こえた。思わず反射で後ろを振り向く。あの金髪碧眼の男がニコリとこちらを見ていた。

何を買ってらしたんですか？先程買ったばかりのものが入った袋を覗き込まれる。何だこいつ、物凄くキモイ。さっき1人で笑ってた私よりよっぽど気持ち悪い。私の生活用品が中に入っているのぐらい予想がつくだろうに。女性へのデリカシーもないのか？確か前世でこの男は童顔イケメン、公安で更にスパイをやっていて料理が出来てギャップがあるなどの理由から凄く女子人気が高かったように思う。結婚したーい！と騒いでいた私の友人。あの頃はへぇ〜と軽く流していたが今であれば全力で止める所存だ。

そうだ、丁度お昼時ですしポアロに来ませんか？以前失礼なことをしてしまったお詫びとして代金はいりませんから。ニコニコ笑顔で聞かれても頷けるはずがない。第1失礼だと自覚があるにも関わらずどうして同じことを繰り返すのだろうか。私は貴方が買い物の品を探るのもポアロへと強引に連れていくのも正直かなり迷惑だ。

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