14話 ページ15
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駄目だ、もう遅かった。腕をミシミシと音がしそうなほどの強い力で掴まれる。仮にも女子高生だと言うのに加減というものを知らないのだろうか。それともしようとも思っていないのか。電話のお相手はお知り合いですか?瞳の色さえ認識できないほど目を細めて笑いながら言われる。知りません、知らない電話番号からかかってきた知らない相手ですなんて言ってもきっとこの人達は信じない。男の後ろから見た目小学生とは思えない眼光で私を睨みつける同級生が怖く感じた。電話で私に怒鳴った男よりも目の前で敵を睨みつけるようにする2人の方がよっぽど怖く感じる。
きっと信じてはくれないだろうけど言ってみようか。恐怖心で判断能力が低下する。どっちにすれば良いのか決められない。そもそも選択肢は何なんだっけ?あぁ、分からない。まぁもうなんでも良いか。
『離してください。跡がついてしまったら訴える材料になりますよ。それとあなたに電話の相手を教える義務はありません』
あぁ、やってしまった。カウンターに座る同級生が呆けたような顔をしてこちらを凝視している。こいつこんな奴だっけ?そう言いたげだ。私は何もかもどうでも良くなりそれが一定まで達すとふっきれる特徴がある。訴えるだなんてよく言えたものだ。相手は公安警察だと言うのに。でも私がそれを知っていると悟られてはいけないからかえって良かったのかもしれない。そう、全部ポジティブに考えよう。もうどうせ引き返せないのだから。彼らが睨みつけたのと同じように私も今彼らを睨みつけている。嫌な予感は当たった。電話に出なければ、ポアロに入らなければ、私物を落とされなければ、そもそもあのメールに返信しなければ。考えたってしょうがない。過去には戻れない。後悔なんてするだけ無駄だ。頭のどこかであのメールと電話が結びつけられていく。私の意思と関係なしに。でも私はメールのやり取りをやめたくないと思っている。これが私の答えなのだ。表立っては言いずらい私の答え。メールが届く度、無心に文字を打つ私の手だけが正直者なのだ。
それじゃあと今後こそ別れの言葉を言い、待ってっ!!と叫ぶ子供らしい声変わり前の声を全力で無視する。私は名探偵コナンの世界に登場する気も映り込む気もないのだからこれが正しい行動であるはずだ。これから波乱万丈な生活が幕を開けることなんてこの時の私は知る由もなかった。
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夢子(プロフ) - 続き待ってます!更新頑張ってください (5月11日 8時) (レス) @page32 id: 913dff5ce5 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています この作品はもう更新されないのでしょうか? (5月5日 14時) (レス) id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
honoka - 続きが楽しみです❤応援しています! (2023年4月2日 10時) (レス) @page32 id: 31959a78cc (このIDを非表示/違反報告)
わかちゃ(プロフ) - 初めまして✨初コメ失礼します!!すごく大好きな作品です!これからも更新頑張ってください! (2023年3月4日 22時) (レス) id: b355fc481c (このIDを非表示/違反報告)
冷(プロフ) - 続きが待ち遠しい...。更新頑張ってください!応援してます。 (2023年2月19日 21時) (レス) id: dd9d21c513 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2023年1月29日 12時