いつか私のところに戻ってくれば良いだなんて

1話 ページ2

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小学六年生になった頃だった。私がこの世界の住民ではないことに気がついたのは。

昔から可笑しいとは思っていた。

父の転勤の都合で引越しすることになった際の行先である米花町は何故だか聞き覚えがあった。

私の住民票は年々歳が上がるにつれ透けるようになっていった。これがもし両親にバレたらなんて危惧していたがあっさり持っているところを見られた時何も言われなかったのは多分そういうことで。今考えると透けて見えたのは私だけだったんだと思う。何故透けていたのかは分からないけれど今も尚私の手元にあるそれはやっぱり去年よりも透けている。

学校からの帰り道野犬に噛まれた時のこと。何の気なしに赤黒くぱっくりと割れた裂け目を両親には伝えないでいた。するとどういうことか。小さな傷ではなかったのに3日も経てば綺麗さっぱりと治っていたのだ。いや再生したと言った方が正しいのか私は今でもその謎が分からない。けれど怪我の治りが早いのは良いことだ。何も気にせず生活を続けた。

小学四年生のこと。私は初めて銀行強盗というものに遭遇して。ドクドクとなる心臓、タラりと垂れる冷や汗。全てが初めての体験だった。しかし強盗犯のひとりが銀行内にいた人質の数を数えた際、不思議なことに私を数えずに行ってしまったのだ。その頃からだ。私と言う存在はもしかしてこの世界から少しづつ消えようとしているのではないかと考え始めたのは。幸いにも私はポジディブな1面もあったのでパニックになったりなどはしなかった。

そうして小学六年生になった時だ。私は前世を思い出した。私の前世は東京生まれ東京育ちのただのOL。何ひとつ特別な才能を持っておらずただただ繰り返す毎日に身を任せる人生を送っていた26歳、私は死んだ。死に方というのも随分在り来りな方法で確か交通事故で亡くなった気がする。もうよく覚えてはいないけれど一瞬で死ねたから痛みを覚えていないのは幸いだ。

そして私の前世で大人気国民的漫画・アニメだったのが私が今存在している名探偵コナンの世界だ。

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