囚人の戯れ

看守長の仕事 ページ2

はい、ここがぼくの私室であり、仕事部屋の看守長室だよ。

見たら分かるかも知れないけれど、看守の仕事は囚人たちの管理と、この書類仕事さ。
…まあ、能力と犯罪行為の経歴がないってだけで選んだ看守たちだから、皆仕事に対する意識が異なっていて…それで、わたしが書類仕事が苦手な子の分もやりながら色々済ましているのさ。
囚人の相手は能力上わたしには出来ないからね。
当たり前と言えば当たり前だけれど。

以上が看守の仕事で、ここから先がぼく、看守長の仕事になるのだけど…。
うーん…そうだねぇ…
さらりと流すくらいの説明にしておこうか。
新しい囚人の輸送と看守の選抜が主な仕事で、囚人たちと会うことも基本はないんだ。
…ただ、看守が体調不良になったり、囚人が独房行きになったりしたときにぼくが担当することもあるよ。

普段は看守長補佐の2人のどちらかがが居るはずなんだけど…ぼくを探しに行ったのかな？
…看守長と言っても、まあこんな性格だし、大半の子がタメ語だから、補佐の子たちも自由にしているんだ。
わたしだって自分の身ぐらい守れるし、ずっと行動が制限されるのは嫌だろうと思ってね。

さて、看守長室についてと、ぼくについてはこれくらいで良いかな？

…そうかい、それは良かった。
じゃあ次は…何処に行こうか？
お昼は過ぎてしまっているから看守休憩室にはあまり居ないだろうし…
だからと言って囚人に合わせるのも危険だし…

…囚人に会いに行きたい…かぁ。
まあ気になるのは分かるけれど、…かなり危険だよ？
ぼくだって守れるか怪しい。

あ、…いや、あまり危険ではない囚人と看守のペアがいてね。
…その二人なら、もしかしたら大丈夫かも知れない。
確か今丁度…ああ、うん。
少し急だけれど、行ってみるだけ行ってみよう。


ああでもその前に注意しておくね。
囚人は何処まで行っても罪を犯した罪人だ。
どれ程にこやかであっても、どれ程反省していたとしても、その本質は変わらない。
それを忘れないようにしておくれ。
絆される子、看守にも多いんだ。




…特に、今から行く囚人は、ね。

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