囚人の戯れ

自由な看守長 ページ1

おや、きみは…ええと、Aさん、で合っているかな？

…良かった、名前間違えは失礼に当たるからね。
話しやすいよう、ちゃん付けしても構わないかな？
ぼく、性別関係なく人のことはちゃん付けしていてね。

…ありがとう。
じゃあAちゃん。
質問なんだけれど、どうして社会科見学で特級刑務所を選んだんだい？
刑務所を選ぶ子はいるけれど、わざわざここに来るなんて、と思ってね。


…ふむふむ。きみは、"ここの看守"が見たくてきた、と。
下級や上級は清廉潔白で、規律正しい看守だけれど、ここの看守はそうやって選ばれていないから…。
確かにそうだとも。
ぼくは清廉潔白とは言えないけど、その分囚人に対して決定的な特殊能力だから、ここに選ばれたわけだし。
きみ、随分と面白い考えをするね。


…あ、自己紹介を忘れていたよ。
わたしはシエタ・ティターニア。
この特級刑務所の看守長で、1番上の立場の…種族だよ。
わたしの能力は罪を見ることが出来るんだ。
言ってしまえばただそれだけなんだけどね、ちょっと色々あって、ここに派遣されたのさ。


…っとと、自己紹介はこんなものかな？
喋り過ぎてごめんね〜、さっさと見学してしまおう！

囚人と会わせるのは危険だし、少しずつ行こうか。
…まずは看守長室からにしよう。


向かう途中は暇だから、…そうだね、一応ここの役割でも話しておこうか。
ここ特級刑務所は他の刑務所と違って、他者に犯罪を起こさせることの出来る能力者を捕らえている刑務所って言うのは、知っているよね？

じゃあどうして尚更清廉潔白で、ルール厳守の看守じゃないのか、と良く聞かれるのだけど…。
ここに居るのは凶悪犯じゃなくて、危険能力保持者だから、その分看守の犯罪率も上がってしまう。
それを阻止するために、"犯罪を犯していない上、能力が囚人に対し有効である"という二つで選んでいるんだ。

だから"囚人の危険度"で言えば下級刑務所になるんだけれど…まあ、それを知らずに下級に見学に行ってしまう子も多いんだよね〜。
まあ、刑務所は恐ろしい場所、って印象を与えるには良いけどさ。

おっ、質問かい？いいよ、なんでも答えて見せようとも。

…看守の仕事？それは…そうだね、看守長室に着いたら教えよう。そっちの方が分かりやすいだろうから。

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