いやよいやよも【赤】

入学式 ページ1

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『だーっ！疲れた！』

「おっつ〜、なんやコスプレみたいな格好やな笑」

『うるへー！』



閉式の言葉を聞いて皆ぞろぞろ出口に向かってる途中
話しかけてきたのは予備校から友達の大倉忠義


笑われたってここは美大

普通のスーツじゃつまらないからってだいぶ目立つ格好してきたけど、周りにはもっと派手な子も沢山いる







「よぉ〜」


「『亮ちゃ〜〜ん！！！！』」




黒地に金の刺繍のジャケットと
黒のシャツに金のネクタイ締めて
格好も派手なら顔も派手
でもどこか似合っちゃうすごい奴
こちらも予備校から友達の錦戸亮


亮ちゃんは一浪してるから
同じ学年だけど歳はひとつ上
私たちのお兄さん的存在





「亮ちゃんはコスプレ感ないなあ〜どっちか言うたらチンピラやな」

『確かに〜』

「おぉ！それ以上言うたらしばくぞ！！」

『「おぉ〜」』

「真似どやった？上手かった？」







きゃっきゃしながら体育館入口を抜けるとそこはサークル勧誘の嵐

サンバ踊りながら太鼓を叩いてる人もいれば
ユニフォーム着て顔に落書きして担がれてる人もいる



「うお〜やっば！」

「人多ッ！！」

『ひゃ〜』









波をかき分け山超えて
手にしたサークル勧誘のチラシはざっと20枚


2人とはぐれちゃって食堂手前のベンチで一休み


待つついでにところどころ破れたりくしゃしくゃになったチラシを伸ばし目を通す


元々運動は得意じゃないしな〜と思っていた時目についたチラシ








「タダ飯食べ放題！先輩の金を食い尽くせ！音楽もやってるよ！」








軽音サークルのチラシだった




『なんじゃこりゃ...』



大体のサークルが「飲み会やるよ！」とか「お花見やってるよ！」とか

どことな〜く(先輩に奢ってもらえるよ)感を出してるさなか

露骨にアピールしまくってる文章と荒すぎて真っ黒になってるライブ中(？)の写真。

てか軽音サークルなのに最後に「音楽もやってるよ！」って....









『…気に入った！！！』









なんだよこんなサークル勧誘…
行くしかないじゃんか…


こちとら上京一週間、慣れない自炊に不出来な料理。お金なんてないもんだから外食なんてもってのほか…！





つまり美味しいものを食べれてない一週間！



この一週間の(お腹の)空白をしかと埋めさせてもらおうではないか！！









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