ちぐはぐ【剣城京介】 (ページ3)

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■必死な彼女

「サッカー部はどう！？」

「まだ中へ入ったばかりだから」

　結局剣城くんという人が去ってから、一瞬のうちに中へ押し込まれてしまった。空野さんは早くサッカー部の感想を言って欲しいらしい。そのせいか歩くスピードが徐々に早くなっているのは気のせいか。もちろん彼女からの質問攻めは止まっていないが。

「ところでAさんはどうして転校したの？」

　いきなり質問内容が変わったので少々戸惑ったが、理解するのにはさほど時間を要することは無かった。しかし応えるのには時間を要し、祖父が亡くなったから、と正直に応えても空気が重くなりそうだったからだ。だが、ここで誤魔化しても今後の人間関係にヒビが入ってしまいそうで正直に話した。

「…私、不味いこと聞いちゃったかな？」

　やはりこうなるか。それでも話したこと自体に後悔はしていないため、「全然気にしなくていいよ、話したのは私だから。」と返事をした直後に「でも雷門にはイイ人沢山いるから！」とそれに類似したことを言葉を多く並べる。どこか悲しそうな表情をしている彼女に私は一言、空野さんは好きだよと面と向かって言った。

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「ちょっと天馬！信介！中で着替えなさいよ！」

「あ、葵っ！？」

　出会って数時間、いきなりあんなことを面と向かって言ったのだが、空野さんは少し顔を赤らめて私もAさんのこと大好き！と言ってくれた。空野さんはとても優しくて良い人で、物事をはっきり言う人だということが分かった。これからも友達でいてくれるだろうか。
　そして、シレッと男子の裸を見てしまった…。

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