四話 ページ6
.
キィ、と軋む扉の音を、少女は感じていました。それでも彼女は、手のずっしりとした重い感覚を理解できませんでした。
(あれ……)
辺りは静寂に満ち満ちて、夜はすっかり深くなっています。エノリアのような少女が、いつまでもこんな森に居てはとても危険。
いくら勇敢で怖いもの知らずの少女であっても、そんなことは身に染みて理解していました。
なのに、何故。
(ここはどこ……？)
エノリアは奥へ奥へと、足を進めているのでしょう。
辿り着いたそこに、顎をぐっと上げなければ見渡せないほどの、館が建ってありました。
絵本で見たことがあるような、紫色の、何やら妖しい雰囲気です。
エノリアは冷めた目で呟いてしまいました。
「何ここ。」
幼馴染のセドリックなら、夜の森の洋館という、その風貌にひどく怯えたことでしょうに。
その様子をありありと想像したエノリアは、口元に手を当てて思わず笑ってしまいました。
セディといえば、そういえば。
何か……妙な話を、熱弁していたような？
たしかそう、『悪魔の館』だとか。
��『お前に万が一のことがあったら、俺は……』��
……馬鹿みたい。
鼻で笑ったエノリアでしたが、みすみす入るつもりもありませんでした。だって、心配を掛けるような真似をしたら、セドリックが泣き喚いてしまいます。
だからもう帰ろうと踵を返した、はずなのです。
エノリアの身体は、意志に逆らって、扉を開け始めました。慌てて戻ろうとしても、無駄なのです。
それはまるで、この世ならざる力に、望まれて導かれるようでした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆめ。(プロフ) - 魚骨さん» 宣伝！！！！！？宜しいんですか！！？ってもう数ヶ月の前の話でスミマセン……スミマセン……もし久しぶりにこれを見に来てくださっていたならぜひ……！めちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます！！これから投稿していきたい所存です！！！ (2月14日 19時) (
レス) id: deb4b2fb78 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ。(プロフ) - 魚骨さん» ぎゃあああああ原作者様ぁあああ！！！！？しばらく諸事情で低浮上しててすみませんでしたぁぁあ！！めちゃくちゃすぐ見に来てくださっていたのに見れてなかったぁぁあ！！！ (2月14日 19時) (レス) @page4 id: deb4b2fb78 (このIDを非表示/違反報告)
魚骨(プロフ) - この度は素敵な作品をありがとうございます…！更新楽しみにしています|ू´꒳`)それと、ゆめ。さんが良ければなんですが、こちらの作品をイラスト集の方で宣伝とか…させていただいてもよろしいでしょうか…？全人類に見てほしい…😭（連投すみません汗） (12月29日 22時) (レス) id: 61d723e164 (このIDを非表示/違反報告)
魚骨(プロフ) - エリノアちゃんもセドリックくんも魅力的にえがいてくれてありがとうございます…幼馴染節バリバリ感じれて良い…( * ꒦ິ꒳꒦ີ人（リスのくだり好きです😂）これは他の子たちも楽しみですね…（図々しい） (12月29日 22時) (レス) id: 61d723e164 (このIDを非表示/違反報告)
魚骨(プロフ) - わああああああありがとうございますありがとうございます！！😭🙏うちの子が喋っとる！！！やり取りが可愛い！！嬉しすぎて小躍りししながら読ませていただきました…！！ (12月29日 22時) (レス) id: 61d723e164 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
