其ノ什四 ページ18
屋上から空を眺める。過去の事を思い出し、暗い気分になっている。
皮肉にも空は晴天で…今の私とは大違い。綺麗で明るくて、輝いている。
貴｢…あの時も、ここから校庭を見ていたな…｣
柵に背を預け目を瞑り、もう一度過去の事を思い出す。
凛｢Aっ！早くしなきゃ置いてくよー！｣
貴｢まっ…待ってってば凛！｣
凛走るの速っ！ほんとに人間？
私の家に向かって一直線に走る友達…凛。凛は今日私の家で遊ぼうと提案してきた。
良い機会だし…勇気を出して、話してみよう。
＿＿＿私が、吸血鬼だって事
凛が家に着き、早く早くと急かす。すぐに追い付き、私は家の鍵を開けた。
吸血鬼はどんな家柄にも関わらず、16歳を超えると独り立ちする。
実家の補助を受けながら少しずつ補助を少なくしていき…約2年程で完全に独り立ちしなければならない。それが私達の古くから伝わる掟なのだから。
凛｢いやー、やっぱAの家って落ち着くわー…｣
貴｢そんな堂々とくつろがないでよ。親しき仲にも礼儀ありって言葉知らない？｣
知らなーいと気の抜けた声で凛は返事をし、テレビを見始めた。
私は部屋の隅に鞄を置き、凛に話し掛ける。
貴｢あの…ね？凛…驚かないで聞いて欲しいんだけどさ…｣
凛｢んー？何？｣
手が震える。冬華和一族は今まで結婚する人以外に吸血鬼だとバラしたことが無かった。
凛が他の人に言う可能性もある…だけど私は凛を信じてるから…絶対口外しないって。
貴｢実は私ね…吸血鬼、なんだ…信じてもらえないかも知れないけど…本当、なの。｣
さっきまで明るい雰囲気だった部屋が一瞬で凍り付き、凛とのあいだに沈黙が訪れる。
凛｢……なん、で…！｣
貴｢え？｣
凛｢なんで話してくれなかったの馬鹿ッ！｣
そう叫ぶと凛は私の部屋を出ていった。
貴｢っま、待って凛っ！！｣
嫌われ…た…！
最初っからこんな事するべきじゃなかったんだ！
早く…弁解しなきゃ！！
私もすぐさま部屋を飛び出し、凛を追いかける。だが途中で見失ってしまった。
貴｢り…ん…そうだ、高い所なら凛が探せるかもしれない…！｣
高い所…！高い所…！
街を駆けながら必死に高い所を探す。……そうだ、学校の屋上！
屋上を思いつき、学校へと足を向ける。
陽も傾いてきた頃、屋上の柵から身を乗り出し、目を凝らして凛を探す。
見つからない…凛、何処にいるの…！
早く見つけて行かなきゃ、彼奴が…！
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作者名：スポ隊下っ端??かるの?? | 作成日時：2018年11月15日 0時
