episode5.修羅 ページ5
ここで少し時を遡る。
つまり定期テスト前の修学旅行までの話を
しようと思う。
僕の話なんてどうでも良い、と思ってくれても構わない。
しかしこれはM先生の事を語る上の大事な通過点なのは確かである。
あの日、僕は家族で苺狩りに出掛けた。
家から数時間程で着く場所だった。
ビニールハウスの中には沢山の赤い苺や
まだ熟していない白い苺が一面に広がっていた
のを覚えている。
父や姉はどちらかと言えばかなり食べる方で、
元を取ろう、と出来るだけ沢山食べていた。
僕や母はどちらかと言えば少食だ。
そしてそんなに苺が好きな訳でも無い。
だからそんなに食べなかった。
父は時間の限り沢山食べ、母に『まだ食べるの?』と呆れさせる程だった。
そこまでは、良かった。
しかし、この後僕らを思いもよらぬ出来事を
襲った。
確か何かの祝い事で夕食に焼肉を食べに行こう、という話になった。苺をあれだけ食べたのにまだ食べるのか、と少し呆れてしまった。
地元にまで戻ってきた時、それは起こった。
父が突然お腹が痛いと言い出したのだ。
しかも時間が経つ内に尋常では無い痛みに代わり、のたうち回り始めたのだ。
これは僕らもおかしいと感じた。
ただの腹痛にしては相当痛がっている。
顔色は蒼白で、
脂汗まで浮かんでいた。
急遽、焼肉という案は取り下げられ代わりに寿司屋に入ることになった。
父はあまりの痛みに動けないので僕と姉と母の3人だけで早い夕食を終えた。
車に戻ると、まさしく修羅場だった。
もう今にも死にそうな様子だったのだ。
母が運転を代わり、近くの薬局に走った。
母と姉は車を停めると直ぐに飛び出して中に入って行った。
さすがの僕も事の重大さが理解出来た。
父の様子を見ているために車の中に残された僕は父の方に目を向けることさえも難しかった。
本音を言えば痛々しくて
見ていられなかったのだ。
程なくして母と姉が戻ってきた。
母の手には胃薬と薬局で入れてもらったのであろう水が握られていた。
父にそれを渡すと直ぐに飲むよさ催促した。
苦しみながら薬を飲む父を見つめる母の目は、見たことが無いくらい真剣な眼差しだった。
その後、母の運転で直ぐに家に帰った。
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A - ゆうさん» 「だけど確かに前に、進んでいる」この文以降の1文1文が心に響きました。私は今、どちらかと言うと止まっている方だと思うので、とても励まされた気がしますw!……長文失礼致しました。これだけは作者の人に伝えたかったのでw (2014年8月8日 1時) (携帯から) (レス) id: c5a472413d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - Aさん» はい!ありがとうございます! (2014年8月8日 0時) (レス) id: 5b35e72707 (このIDを非表示/違反報告)
A - ゆうさん» 夜遅くにすみません…まさかコメントして返信がくると思ってなかったので嬉しかったですwwこれからも小説(と呼ぶのでしょうか?)、がんばって下さい! (2014年8月8日 0時) (携帯から) (レス) id: c5a472413d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - Aさん» コメント返せて無くてごめんなさい!全然大丈夫ですよ!気にしないで下さい。読んでくれてありがとうございます。 (2014年8月7日 21時) (レス) id: 5b35e72707 (このIDを非表示/違反報告)
A - すいません。色々と間違えました。初めてコメント(?)したので… (2014年8月7日 15時) (携帯から) (レス) id: c5a472413d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆう | 作成日時:2014年2月23日 15時