文豪×呪術

固陋蠢愚【改】 ページ28

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順平side.

朝起きると、母さんは居なかった。

リビングの机には、不気味な指があった。

真人さんが言うには、それは呪いを呼び寄せる呪具、ってヤツらしい。

母さんは、それに呼び寄せられた呪霊に攫われ、多分もう……。

指を置いたのは、僕を恨んで呪いたい奴、もしくは金と暇を持て余した薄暗い人間が、金目当ての呪詛師に依頼したからとか。

…金とコネなんて軽い物で人の命が飛ぶなんておかしな話だ。

そもそも、何で何で何でｯ…!!!!

…僕は母さんのクローゼットから黒い服を出して着た。

黒い服なんて持ってなかったから。

その足で学校へ向かう。

多分今の時間帯なら、体育館で夏休み後の集会だろう。

まぁ、学校行ってない僕にとっては休みも何も関係ない話だけど。

順平｢澱月。｣

そう呼べば僕の背後から出てくる大きなクラゲ。

真人さんからもらった、毒を使う式神だ。

澱月を使って、体育館の人間を眠らせる。

…外村と伊藤以外を。

外村｢おい!!どうしたオマエら!!しっかりしろ!!大丈夫か!?｣

生徒｢ゔぅ…｣

…そうやって目に見えやすい事実に気を取られてるから気付けないんだろ？

順平｢死にはしないよ。｣

外村｢吉野…なんで…いや…知っているのか？何が起こっているか…｣

だからさ、

順平｢先生。ちゃんと見ててね。｣

右目を覆ってた前髪を上げる。

…前髪で隠れるところにある無数のタバコの火傷跡。

外村｢!!オマエ、その傷!!それ…!!｣

こうまでしないと気づけないんだよね。

ホント、それで教師だとか生徒を想ってるとか笑わせる。

順平｢…これまでのことも。これからのことも。｣

僕は歩く。

目的を達成するために。

舞台上の、伊藤に向けて。

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