絶対アンタを惚れさせます【影山飛雄】

04 眩しい ページ6

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それから、影山は毎朝女の元へ通うようになった。





「Aさん、ちわす」

「おはよ、おにーさん」



朝の挨拶。

なんてことはない、言葉。

それでも影山には満ち足りていた。



しかし、不服なことといえば。






「……あの、俺『おにーさん』じゃなくて『影山飛雄』です」






いつまで経っても名前で呼んではくれないこと。



忘れているのかと何度かそう言ってみたのだが、女はいつものごとく笑って躱した。

しかし嫌われているわけでもないらしい。

何か事情があるのだろうか。


多少引っかかるが、影山は深く問い詰めなかった。





もう一つ、通い始めて一週間が過ぎて気づいたことがある。



女は早朝６時であるにも関わらず、高頻度で家の中ではなく外から歩いてくるのだ。

何か買い物袋を提げているわけでもない。

どうやら夜はどこかに行っているらしいのだが。





「朝帰り、ってやつかな」





そう答えて笑うばかりであった。







謎の多い想い人。

しかし新しく知ったことも多い。




大学生である女はこの古臭い一戸建てに一人と一匹で暮らしているらしい。


その一匹の犬の名前は『ココ』。

影山はよく知らないが、女曰く雑種だそう。


バイトはしていて、場所までは教えてくれなかったが近辺と言っていた。




そして。





「将来はね、ここらで一番大きなペットショップ開きたいの」

「ふーん……動物、ホントに好きなんすね」

「うん。


飼い主とパートナーの『糸』を沢山繋げてあげるのが、夢」





難しいことはよくわからなかったけど。


そう語る彼女の表情は活き活きとしていて、楽しそうだった。



影山は、じっと見つめながら。






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「………かっこいーっすね」

「でしょ」






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かっこよくて、綺麗だな、と。






流石に易々と口には出せなく、影山は黙って目を細めた。


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