10 拒絶 ページ12
「………誰って、別に私誰とも」
「嘘、つかなくていいです。
俺Aさんならどれだけ離れてても暗くても解ります」
「……」
女は困った様に眉を下げ、影山から目を逸らした。
影山は一歩近付く。
女を見下ろし、言葉を待った。
「……何処で、見たの」
どう考えても、肯定を前提とする問い。
俯いた女の顔がよく見えない。
「公園です。すぐそこの」
「…あんまり遅い時間に外出ちゃダメだよ」
「話逸らそうとしてるんすか」
「……」
「誰ですか、あの男。
---------------- 恋人ですか」
.
「……うん」
.
少しだけ。
首の絞まった、感覚がした。
「……そうっすか」
「うん」
「なら昨日の首の赤いのも、その人にやられたんですか」
「……うん」
ちょっと、乱暴な人で。
掠れた声は、どうにも幸せなカップルのものには思えない。
しかしやはり女は無理したように笑い。
「でも」
「好きなんすか、その人のこと」
「……え？」
「本気で、ちゃんと、好きなんですか」
女の表情がくしゃりと歪んだ。
真っ直ぐな視線から、逃げる。
黙って目を逸らした女を見て。
影山はゆっくり手を伸ばした。
「Aさん、…俺、」
彼女の頬に、指先が、触れ。
.
「っ…触らないで!!!」
.
聞いたこともないような金切り声。
ピタリと手が止まる。
空中、触れるまで数センチ。
胸の奥が、冷えた。
.
「……あ、」
女が顔を上げた。
困惑した顔で、泣きそうな顔で、影山を見る。
その目に映った相手は、少し驚いた顔からスッと元の無表情に戻り。
「……すんませんした」
「っ、」
一歩下がり、ペコリと丁寧に頭を下げてから。
女の横を通り過ぎ、歩いていった。
.
残された女はその背中を呆然と見つめる。
見えなくなってから、ぺたんとその場に座り込み。
.
「………ほんと、…バカ…」
.
唇を噛み締め。
額を押さえて、強く擦った。
.
..
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ごま煎餅(プロフ) - シャロンさん» コメントありがとうございます！ファン好きまで読んで頂けて嬉しい限りです…！作品を読んでキャラを好きになった、というコメントを頂く度に私としては「してやったり…」とほくそ笑みたい気持ちになります。どうも出来ません、飛雄に惚れるのは自然の摂理です！！ (2017年2月17日 13時) (
レス) id: fcb45a2358 (このIDを非表示/違反報告)
シャロン - ファン好きから読みました！おかげで影山が大好きになりましたよ！どーしてくれるんですか!?← (2017年2月16日 17時) (レス) id: ea738a0ac6 (このIDを非表示/違反報告)
ごま煎餅(プロフ) - いくとさん» コメントありがとうございます！マジぶっころですね、人間の風上にも置けない！しかし本当にこういう人はいるのでお気をつけ下さい。そして飛雄を応援してやって下さい。全部読んで下さったのですか！！嬉しい限りです…！是非お楽しみ下さい。頑張ります！！ (2017年2月6日 11時) (レス) id: fcb45a2358 (このIDを非表示/違反報告)
いくと - 夢主の彼氏マジぶっこr((最低ですねぇもう飛雄ちゃん奪ってっちゃってぇぇえ！ごま煎餅さんの作品全部読ませていただきましたがどの話もめっちゃ好きです！今後の展開楽しみにしてます♪長文失礼しましたm(_ _)m (2017年2月5日 22時) (レス) id: 38a8eac703 (このIDを非表示/違反報告)
ごま煎餅(プロフ) - ともねさん» コメントありがとうございます！今回は少し暗いものを抱える夢主さんですが、飛雄がその分とても輝いて見えるものになると思います。万人受けはしないかもしれませんが最後はしっかり飛雄萌えを詰め込みますので暫しお付き合い下さい！頑張ります！！ (2017年1月30日 14時) (レス) id: fcb45a2358 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ごま煎餅 | 作成日時：2017年1月27日 19時
