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side A
タクシーからクールに降りてきた彼は､サングラスを襟元から外して､それを片手で器用につけた｡
｢気を付けてね､って言ったのに｡寄り道ですか？お姉さん｡｣
｢もう･･････帰るとこだよ｡｣
｢へぇー･･･ねぇ､時間ある？ヒロムくんの店行かない？｣
そんな顔で誘われたら､思わず「行く」って言いそうになるけど､ゴクリと喉を鳴らしてその言葉を飲み込む｡
｢･･････行かない｡｣
｢なんか予定あった？｣
隆二は私を覗き込んでくる｡
りゅ､隆二さん･････････近いです｡
私の心臓が痛いくらい主張してます｡
首を横に降るだけで精一杯で､詳細を話さない私に､片眉をキリッとあげてみせる隆二｡
｢喧嘩したの？｣
｢ヒロム？してない･･･です｡｣
｢じゃあ何で？｣
｢何ででしょう？｣
｢うーん･･･困っちゃうね｡どうしちゃったのかな？｣
遂には､眉を下げてあからさまな困り顔の彼｡
困り顔も男前ですね｡
でも､ちょっと私､面倒臭い女だよね｡
｢･･････敬浩くんを避けてるの｡だから行かない｡｣
これ以上､彼を困らせないように､素直に話した｡
“会いたくないから､会わないようにリスクを避ける”
理にかなってる言い訳だと思うんだけど･･････
｢じゃあさ､会わなければいいんでしょ？ちょっと付き合って｡｣
｢えっ､ちょっと！｣
隆二は私の腕を取って､足早に私が来た道を戻って行く｡
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作者名：りあ | 作成日時：2017年1月25日 20時
