トラウマ ページ49
出会ったあの時も、蓮さんの瞳は漆黒に染まっていた。
耐えられずいつもこちらから逸らし気味だった目線は、今、久し振りに合っている。
黙っている蓮さんとの空間は、かなり体力を消耗している気がして、
意味も無く、ジーンズのポケット部分を握りしめた。
?「・・お兄さん、1人ですかぁ？」
近くのお店から出てきた、2人組の女の子。
そちら側に背を向けている蓮さんは知らなかったみたいだけど、
さっきから、その子達が、やたらとこっちに意味あり気な視線を向けていたのには気付いていた。
余程自分達に自信があるのか、
仮にも一緒に居る私には、一切目もくれない。
きゃぴきゃぴと騒ぐこの子たちは、
彼が思いを寄せている唯さんとは正反対・・絶対、苦手なタイプだ。
女の子達から向けられた誘いが自分宛だと思っていなかったのか、
蓮さんは一拍置いて、そちらへと目を逸らす。
R「・・え、」
「良かったら一緒にご飯でも行きません？お兄さん、すっごい格好良いから！」
「連絡先教えて下さい！」
R「・・いや、えっと、」
―――・・それは、意外な反応だった。
私に対する様な、こっ酷い態度と冷たい物言い。
その2つを武器に、この子達をも容易に追い払うんだろうな・・なんて思っていた。
逆ナンしてくる女の子、蓮さん嫌いそうだし、
相手が私とは言え、話をしている所を邪魔してくる存在は、好ましくないに違い無いからだ。
だけど目の前の蓮さんは、
グイグイと迫って来る女の子達へ、戸惑った様に口を噤んでしまっていて。
ハッキリ断る所か、勢いに押されて視線を彷徨わせている。
・・なんかちょっと、顔色悪くなってない？
何も言わない蓮さんに気を良くしたのか、
声を掛けてきた女の子達は、勝ち誇った様に私を見下ろす。
「今からお茶しましょうよー！」
「あっちにお店あるんで行きましょ？」
彼の両腕に、華奢な2つの腕が巻き付こうとする。
・・この女の子達が来てから、蓮さんの様子が明らかにおかしい。
走った後で少し赤みを帯びていた顔は青白くなっているし、
泳いだ瞳と、棒の様に動かない体、生唾を飲み込むその動作。
明らかに、今の蓮さんは何かに怯えている気がした。
―――何かって、何？
A「・・蓮さん？」
唇も、真っ青だ。
はしゃいでいた様子の女の子達も、
蓮さんの異変に、顔を強張らせる。
強い意志を持った漆黒の瞳は、
光を失ったかの様に、ゆらゆらと揺れて私を映した。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
