話してよ ページ48
私の左腕を掴んで、蓮さんは走り出す。
咄嗟に動く両足、風を切る伸びた髪の毛。
突然の衝撃に息を吐く間もなく、
人の間を縫う様に、通りを駆け抜ける。
走っている内に離れてしまった翔太くんの元へと駆け寄る女の子達の声が、
後ろから微かに聞こえて来て。
私の手を引いてあの場から離れた蓮さんを追いかけてくる猛者は、誰一人居ない様だった。
触れられている左手首が、驚く程大きく脈打ってる。
走っているせい？心臓がめちゃくちゃ痛い。
スニーカーを履いて来た事、運転する時は凄く後悔したのに、
こうやって蓮さんと走る為だったなら、その選択をした自分も悪くない・・なんて。
文句の1つも言いたいのに、走るスピードも相まって、付いて行く事しか出来ない。
R「―――大丈夫？」
メインストリートから少し離れた、奥まった場所。
聞いた事の無い雑貨店やブランドが並んだこのエリアは、
先程と同じ敷地内とは思えない程、人が見当たらない。
広いアウトレットの中で、こんな静かな所があったなんて。
自分が思っているより、大分遠くまで2人で走って来たみたいだ。
A「はぁ、はぁ・・だ、大丈夫。」
R「全然大丈夫に聞こえないけど。息やばいじゃん。」
A「ぎゃ・・逆に何で？何で、蓮さんそんなに余裕なの？」
R「毎朝走ってるし。」
A「・・そう、でしたね。」
R「でも、あんた引っ張ってたから、ちょっと疲れた。」
何の気も無く、掴んでいた左腕を離す。
蓮さんは・・こうやって、異性の手を簡単に触ったり出来る人なんだ。
そもそも、私に対して異性って認識すら無いとは思うけど。
いちいち動揺してたら、本当にキリがない。
走ったせいでずり落ちたカバンを掛け直しながら、
私より高い位置にある整った顔を、じっと見つめる。
ゴールデンウィークで避暑地とは言えど、気温は30度近く。
額に浮いた汗と、言葉通り、疲れた証拠に寄った眉根、
その色気に、心までもが絆されそうだ。
A「何で、翔太くんから離れたの？」
R「・・・。」
A「蓮さんには、翔太くんに張り合う必要無かったし。さすがにここまでして、私と一緒に買い物したい、なんて理由じゃないでしょ？」
キスした事を話してまで、私を翔太くんから連れ出した理由。
前提として、蓮さんは私に全く興味は無い。
嫌われてないって事しか、私に価値は無い。
なのに何で・・
何で、私の手を引いてまで、ここまで来たの？
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
