腕を引く ページ46
ゴールデンウィークならではの混みあった敷地内。
ここに通い慣れているであろう翔太くんは、
大きな駐車場でも、割と出入口に近い所へ車を停めた。
有名な観光名所にあるこのアウトレットは、
こっちに来ると決まった時から、私もずっと気になっていた。
まだまだ余裕のない3年目の社会人だけど、
それなりに、ブランド物や流行りには興味もある。
人が行き交う道の真ん中で、キョロキョロと辺りを見回した。
R「この人混みなら、全員でダラダラ回るより別行動の方が良いかもね。」
S「・・そうする？」
A「そうしましょう！」
行きたがってたのは翔太くんだけど、蓮さんも見たいお店があるらしい。
このまま一緒に回るの気まずいな・・とか考えていた私に、
思いがけない提案が持ち寄られた。
それは勿論、あの時の翔太くんを意識せずには居られないって理由もあるけど。
ここはアウトレット、若くて可愛らしい女の子もたくさん居る。
・・さっきから、蓮さんと翔太くんがめちゃくちゃ注目を集めているのだ。
それはつまり、一緒に居る私へも、
何十何百もの鋭い視線が突き刺さっている現状な訳で。
正直気まずいなんてレベルじゃないし、
出来れば集合時間決めて、帰るタイミングで車に乗り合う、完全別行動でお願いしたい。
流れに任せて、便乗には強過ぎる同意をした瞬間だった。
S「Aは俺と一緒に行こ。」
その場を離れようとした私に、翔太くんがふわりと笑いかける。
もはや観客みたいに周りを囲む女の子達が、小さな悲鳴を上げた。
A「え？！」
S「明日アイツに会うんでしょ？お前の服選びたい。」
A「な・・何で翔太くんが選ぶんですか？」
S「え？単なる独占欲。」
A「意味が分からない事言わないで下さい！」
S「じゃあ、一緒に俺の服選んでよ。逆に。」
A「逆に、の意味も分かりませんから！」
もう、本当に訳が分からない。
言葉は意地悪でいつもと変わらないけど、
表情が、眼差しが、やたら甘いのは私の気のせい？
翔太くん、朝まで全然こんな感じじゃなかったクセに！
脆弱な反撃が、とことん避けられている。
S「裸見た仲じゃん。一緒に行こって。」
A「またそれ・・！」
S「ここで言い合っててもしょうがないし。ほら、」
翔太くんの綺麗な手が、私の腕を掴もうと伸びてくる。
後数センチで温度が触れそうなその瞬間、
ずっと私達を眺めていた彼が、ゆっくり息を吸った。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
