1番の味 ページ44
何が起こったのか咀嚼出来ないまま部屋に戻ると、
一足遅かったのか、料理は既に並んでいて。
私達が戻るまで律儀に食べるのを待っていた蓮さんが、
不機嫌加減を隠そうともせず、鋭い眼光で私を睨んでくる。
いつもだったらへらへら笑って謝るシーンだけど、
今の私は頭がこんがらがり過ぎて、無難に腰を下ろす事しか出来ない。
すっかり冷静さを取り戻した翔太くんは、目の前でニヤニヤ楽しそうに笑っている。
R「・・翔太くん、ご機嫌だね。」
S「別に？さっさと食おうぜ。」
R「・・・？」
あの日みたいに、料理にキラキラと目を輝かせる。
自然に一瞬唇を舐める仕草も、
さっきの衝撃的な展開を思い出させる様なものにしか、今は見えない。
翔太くんが、今までとは全く違う人に見えてしまう。
―――いやいや、ピンク色の妄想に入り込んじゃダメだって！
忘れかけてたけど・・私、明日、阿部先輩とデート出来るんだよ？
なのに、こんなに翔太くん意識してたら、
平常心保てなくなって、先輩にも不審がられるに決まってる。
阿部先輩には、絶対変な子って絶対思われたくない。ヘマして嫌われたくない。
フリーズして動かない脳内を再起動させる為に、
頼んだオムライスに手を付けた。
S「そういえば、飯食った後どうする？」
R「翔太くん服見に行きたいって言ってたじゃん。」
S「・・3人で行く？」
R「どうしたの、急に。」
S「蓮なら分かるでしょ。」
R「・・分かるけど、絶対嫌。」
ふわふわな卵は、ナイフを入れると花が開く様に解けて行く。
デミグラスの掛け方も、インスタ映え・・芸術的で、さすが人気のお店だ。
翔太くんに乱されたペースを取り戻す様に、
面前の料理に集中して、一杯に掬ったスプーンを口に運ぶ。
2人の会話は、完全にシャットダウンして聞こえない。
A「・・あれ？」
オムライスは、間違いなく美味しい。
卵も、ソースも、中に包まれたライスも、全てが精密に計算されている。
メニューに載っていた金額も、それ相応のものだった・・けど。
A「何でだろ・・？」
R「ねぇ、独り言デカい。」
A「えっ？ごめん。」
R「あぁー・・日頃そんなに美味いもん食べてないから、いちいち驚いてんの？」
A「ちっ、違うから！」
出会った頃の様な冷たい態度を、蒸し返される。
まかないで作って貰った蓮さんのオムライスの方が美味しい・・なんて、
また揶揄われると思って言えなかった。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
