ちぐはぐ ページ43
気持ちが先走る余り、
翔太くんの手を握ったままだった事を思い出して、急に恥ずかしくなる。
見開かれた瞳には、あたふたと焦る私が映っていて、
普段の彼なら、揶揄いの1つも飛ばしてきそうなのに。
無表情に、つい先程まで繋がれていた左の手のひらを眺めている。
こっちが見つめているのに気付いて、
すべすべの真っ白な頬が、ぶわっという効果音が付く位一気に染まった。
S「・・やばいかも。まじか、俺。」
A「え？」
S「ほんとに？ちょっと可愛いって思ってただけだったのに・・まじかよ。」
A「しょ、翔太くん？」
S「・・・。」
目が合うと、真っ赤な顔のまま目を逸らされた。
ぶつぶつとそのまま何かを呟いているけど、
内容は聞こえても、意味が分からないから頭に入って来ない。
A「翔太くーん？」
S「・・うわ、意識すると本当だめかもしんない。」
A「え、何が？」
S「あー、本当嫌だ！俺めちゃくちゃ好きになってんじゃん。」
A「だから何がですか？！早く戻りましょ。」
1人でやたらパニくってる翔太くんを眺めていると、
さっきまで蓮さんと一緒に居た自分が、何だか重なって見えてしまって。
結構ここでも話し込んでしまったし、頼んだ料理も冷めてないか気になる。
翔太くんの煙草も既に火は消えていて、
無事に気まずさも無くなったし、このまま戻れば蓮さんとの微妙な雰囲気も一蹴出来るだろう。
個室に戻ろうと、踵を返した。
――――・・その瞬間、翔太くんが、何かを決意した様に唾を飲み込む。
A「・・っ？！」
S「待って。」
突然、背中に伝わって来るさっきと同じ温度。
首の前に綺麗な指が回り込んで、少しだけ後ろに引き寄せられた。
・・耳元に、小さな吐息を感じる。
今の私にこんな事出来るのは、この世界でたった1人だけだ。
あの翔太くんに、後ろから抱きしめられている。
A「しょ、翔太くん？」
S「・・ありがと。」
A「え・・？」
S「俺、Aの前なら、もう煙草吸わなくて良さそう。」
私の鼓膜を揺らすのは、急激に甘くなったトーン。
それと同時に、髪の毛越しの耳へと一瞬、柔らかい感触が触れた。
A「・・えっ？！」
S「さっさと部屋戻んぞ。」
A「しょ、うたくん・・？」
S「ふーん、ちゃんと動揺してんじゃん。」
開いた口が、パクパクと震える。
翔太くんは悪戯に笑いながら、ポケットの中身をぐしゃりと潰した。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
