目前落下 ページ42
翔太くんが、何で今この話をしてくれたのかは分からない。
何の脈絡も無い話に聞こえるけど、
この人は・・私が思っているよりもずっと大人で、ずっとズルい人なのだ。
彼の伝えたい事は、きっと、
年上のプライドに包まれ、上手く煙に巻かれてしまっている。
浮かべた柔らかい笑みも、何処となく無理をしている様に見えて仕方ない。
店内に戻ろうと横を通り過ぎる翔太くんの手を、思わず引き留めた。
A「・・しょ、翔太くんは、確かに可愛いと思います！」
―――考えるより先に、体が動いた。
こっちに1人で来てから、こんな事ばっかだ。
腕を掴まれ思い切り怪訝そうな顔をしていた翔太くんが、
呆気に取られた様に、私を見下ろす。
S「・・は？」
A「あ、えっと！い、今まで流されるばっかだったって、さっき言ってましたけど・・でも前言ってた様に、『ドロドロの独占欲と衝動』そういう恋愛もして来たんですよね？」
S「・・・。」
A「その重たい感情を恋愛だって言える翔太くんは、間違いなくピュアで可愛いんじゃないかなって・・だから、歴代の年上のお姉様方は見る目あると思います！」
S「A、」
A「・・でも、今の翔太くんは、可愛いだけじゃなくて、」
ぐるぐると、また思考回路が迷走している。
ふと握りしめた彼の手のひらは温かくて、
強張った心臓が、徐々に溶けて行く気がした。
A「―――頼りたい、って思います。何かあったら、私は、翔太くんを1番に頼りたいです。」
多感な時期に、可愛がっていた妹さんと離れ離れになってしまった事。
同じタイミングに、余裕のある年上の女性と接する機会が多かった事。
そんな経験をして来た翔太くんは、
妹さんを重ねている私に、もっと頼って欲しかったんじゃないかな・・って、漠然と思った。
不自然なさっきのやきもちも、きっとそのせいだ。
だけど、彼の機嫌を直そうという魂胆で無理に伝えた訳じゃなくて。
翔太くんの求めていたであろうこの言葉は、嘘じゃない。
翔太くんは、誰よりも場の空気を支えている人なんだって、ふと気付いたのだ。
蓮さんと2人きりじゃ会話に迷うのに、
今日1日、翔太くんが居るだけで、私はボロを出す事は無かったし。
・・普通に考えて、1度裸を見られた恋人でもない異性と、
ここまで大きな問題無く生活出来ているのは、私が翔太くんを無意識に頼っているお陰だ。
翔太くんの目が、大きく見開かれた。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
