公開電話 ページ37
R「・・で、電話は？」
翔太くんの柔らかい雰囲気に、ほっとしたのも束の間。
思った以上に翔太くんに好かれている事が分かって、
嬉しくなって、隣に居る蓮さんの気配を忘れてしまっていて。
空気を切り裂く冷たい温度に、表情が凍り付くのが分かった。
A「・・え？」
R「電話。アベセンパイの。早くしろって。」
A「え、えーっと、」
R「好きなんでしょ？時間置いてどうすんの。」
固まった体に鞭を打つように、蓮さんへと目線を動かす。
その眼差しは、予想以上に真剣だった。
カバンから出したスマホは、私の手の中で、
着信を知らせる光を、チカチカと漏らしている。
A『―――・・もしもし、A？』
混んでいた店内で、頼んだ料理が来る気配はまだ無い。
蓮さんに核心を突かれて、こそこそ電話を掛けようとすると、
またもやムスッとした翔太くんに騒がれて、スピーカーモードに変えられた。
何コールかした後、阿部先輩が私を呼ぶ優しい声が個室に響いて、
こっちからは何も発していないのに、一気に恥ずかしくなる。
・・ニヤニヤ笑う翔太くんにはもう、さっきの態度の片鱗すら見えない。
蓮さんは対照的に、茶化す様子も無く、真っ直ぐ私を見ている。
A「あ・・お、お疲れ様です。」
A『お疲れ様って！仕事じゃないのにー。』
A「す、すいません！」
A『まだ1か月しか経ってないけど・・そのAの真面目な感じ懐かしいな。』
今先輩はきっと、あの優しい顔で笑ってる。
プライベートの阿部先輩は、会社より話し方も少し大雑把で、
声のトーンも低くて・・ダメだ、バカみたいな返ししか出てこない。
スピーカーにさせられたせいで、
その声色を耳元で感じない事が唯一の救いだった。
何も言えなくなった私に、
翔太くんが口パクで、『なんか喋れよ』と投げかけているのが分かる。
A「あ・・えっと、その、あ、阿部先輩は何かご用件でも？」
A『ん？あぁ、そうそう！』
R「ご用件って・・固過ぎるでしょ。」
S「この電話で、何となくコイツらの関係性が見えるわ。」
R「ね。」
A「・・っ！」
平然と話し出す2人に、人差し指を唇の前に持って行き、
言葉を発さずどうにか黙らせようとする。
―――阿部先輩に聞こえたら、この状況は絶対変な空気になるって。
聡い彼の事だから、絶対大人数で聞いてるのバレる。
しんとした静寂の中、電話口から、ゆっくり息を吸う音が聞こえた。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
