負け試合 ページ30
―――きっと蓮さんのそれは、
翔太くんと事前に打ち合わせていた通りなのだろう。
言ってみたら、計算されまくった可愛さ。
あざといとか、私、阿部先輩以外は受け付けないハズだったのに。
上目遣いと、突然来た名前呼びに、
意志とは裏腹、こくりと頷く事しか出来ない。
S「・・ちょっろ。」
後ろから聞こえて来た翔太くんの辛辣な言葉が、
今の自分をドンピシャに表していた。
取り敢えず急いで出掛ける準備をして、
とっくに外で待っている2人を追い、玄関の鍵を閉める。
狭い小道には、外国メーカーのコンパクトSUV。
ずっと気になっていたその車の持ち主は翔太くんだったらしく、
動かしている所は、ここに来て初めて見た。
車に乗って待っていれば良いものの、
何故か2人は、後部座席のドア前に佇んでいて。
私がやって来たのを確認すると、
待ちくたびれた様に、翔太くんから口を開く。
S「お前免許持ってる？」
A「え・・あぁ、一応持ってます。ペーパーですけど。」
R「じゃあ全員運転出来るって事だ。」
S「だな。」
A「え？いや・・だから、ペーパーですけど、」
S「じゃーんけん―――」
ぽん！
威勢の良い掛け声と共に、蓮さんと翔太くんは手を出す。
じゃんけんと言われてしまえば、
いきなりでも、流れを汲んで腕を伸ばしてしまうのは、至極自然な事で。
ここでも事前に打ち合わせていたかの様に、
見事に私がグー、2人は揃ってパーという結果だった。
A「えっ？！」
S「うぇーい、決まりー！」
A「ちょ、ちょっと待って下さい！」
S「じゃ、今日1日運転よろしく。」
A「無理ですって！私、ペーパーなんですよ？」
R「心配しなくても、翔太くんちゃんと保険掛けてるから。」
A「いや、そういう意味じゃなくて、」
S「俺昨日遅かったから後ろで寝てくわ。蓮、Aの補佐よろしく。」
R「分かった。」
A「ねぇ、本気で言ってます？」
R「ナビあるから何とかなるでしょ。グチグチうるさい。」
こっちの意見なんて露知らず、
蓮さんは助手席、翔太くんは周りこんで運転席の後ろのドアを開ける。
翔太くんに関しては、
運転しやすい様に、私が持っていたショルダーバッグも一緒に掻っ攫っていった。
どこに行くのか分からないから、
歩きやすいスニーカーにして来たのがバカだった。
ハイヒールでも履いてれば、運転しなくても済んだのに。
やっぱり2人は、全然優しくない。
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瑠璃 - 面白いです！続きをまっています！更新がんばってください (9月12日 5時) (
レス) @page50 id: 8b59f5379b (このIDを非表示/違反報告)
綾乃(プロフ) - 更新待ってます、、、 (2023年3月14日 1時) (レス) @page50 id: f5add56306 (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう - もう更新されませんか？ (2023年3月4日 23時) (レス) @page50 id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - ドラマ見てるみたいで楽しく読ませて頂きました！続きが気になりすぎますᰔᩚ ᥫᩣ (2023年1月22日 1時) (レス) id: 086f2092e1 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤ(プロフ) - はじめまして。続きが楽しみで、読み返してしまいます。更新を楽しみにしています。 (2022年8月30日 13時) (レス) id: 1cdd29dcae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：xion | 作成日時：2022年5月11日 13時
